「私、アメリカに行ってくる」

「は?」

突然の霜月の言葉に、さすがの俺もスリーを外した。

「え、霜月アメリカ行くの?!」

高尾も手を止めて、目を丸くした。「急だな」

「兄が飛び級して、今MITにいるのよ。ちょっと様子見に行くついでに、アメリカンのお尻を拝もうというわけ」

と青筋を立てる俺に悪戯っぽくウィンクする。普通の女がするならムカつく仕草を、霜月は簡単に、魅力的にやってのける。「だから高校もマネージャー業も1週間ばかりお休みよ」

「霜月が一週間もいないとなると、またつまらない日々が始まるな」高尾がはぁーと大袈裟にため息をつき、ちらっと俺を見た。「こりゃ真ちゃんが荒れるぜ」

「ふん。いなくなってせいぜいするのだよ」

俺はつん、としてまたシュートに戻った。

高尾がやれやれと首をふり、霜月は目をぐるりと回したが、俺は無視した。

俺に一体何を言わせたいんだ?

俺が何を言っても霜月は考えを変えないし、それを高尾も承知しているはずなのに。

ため息をついて、シュートの姿勢に入ろうとすると近くに彼女の存在を感じた。彼女がそばにいると甘い、ライラックの香りがするからだ。

振り返ると、霜月が理解しがたい表情を浮かべて、俺を見つめていた。

金糸のような髪を今はポニーテールにし、監督に五百回注意されてようやく化粧も少し薄めにしているが、彼女の驚くような美しさは衰えない。と、いうより、日に日に彼女は美しくなっている気がする。

俺は彼女を全て理解していないが、彼女のことは他人より少しは知っていた。

例えば、好きな酒はウオッカ。一番好きな季節は夏。理由は皆裸のような服装をするから。

そして今彼女は俺を馬鹿だと思っている。"どうして分からないの?ホント、馬鹿な人"そしてこう続く。"だから、あなたは他と違うのよ"と。"だから私はあなたのそばにいるのよ"と。

俺の希望的観測かもしれないが。

霜月は俺の腕に触れた。彼女に触れられると、まるで電気が走っているような感覚がする。

「知らないわよ?私が他の男にとられても」

「ふん。勝手にしろ」

心の中では、行くなと叫びたかった。

だが高尾がニヤニヤしながらこっちを見ているのでそんな気持ちを押し殺した。

「…ほんと、馬鹿な人ね」

霜月が腰に手を当てながら深いため息をついた。「後悔してもしらないわよ」

そう言って、彼女は俺に背を向け、体育館から出て行った。

「あーあ。霜月まじで他の男のものになるかもだぜ、真ちゃん」

霜月がいなくなると高尾が飽きれたような、半ばおもしろがっているような、表情を浮かべた。「アメリカ人ならアッチのサイズもでかいぜ、きっと」

「何を馬鹿なこと言ってるのだよ、お前は」

「真面目な話。だって霜月は手練れだぜ、あっち系の。日本人のサイズには物足りねぇって」

ゲラゲラ笑う高尾を無視し、俺はシュートを放った。

ボールはまた外れた。





あとがき

久しぶりの緑間シリーズ!
なんか二人とも精神が大人になっている…

iPhoneからの投稿
「新世界で生きるコツ?」

「そう」

聞き返すと湯気が立ち上るシャワー室から彼女が答えた。

「あなたは誰かにつくタイプじゃないでしょ?」

「俺の性格分かってんだろ」

そう言うとカーテン越しに歌うような笑い声が聞こえて来た。「そうよね。確認したまでよ」

「あのな…」

ため息混じりに振り返ると、同時にカーテンが開き、彼女が一糸纏わぬ姿でこちらを見つめた。

「あなたに秘密を」

濡れた足でこちらに向かって歩いてくる彼女。

手を伸ばし、ローの首に触れる。

ローはこれほどいい女は初めてだと心から思った。

「教えてあげる」



iPhoneからの投稿
「またか、このガキ!いい加減本を盗むのをやめねぇと、刑務所にしょっぴくぞ!」

それでも頑なに本を胸に抱いているローに、本屋の主も我慢の限界に来たらしい。

「もういい!こうなったら本気で・・・」

「何を怒っているの、ボブ」

突然聞こえた凛とした声。

振り返ると、そこにいたのはこの町でも有名な、地位ある女性だった。

彼女はいつものように控えめだが気品あるドレスに身を包み、ヴェールで顔を隠しながら流れるようなうごきで二人に近づいた。

「キャサリンさん…」

男は罰の悪そうな顔をして、ちらりとローをみた。

「いやね、そこのガキが毎回本を盗むんでさぁ…こちらも我慢の限界でね」

「盗んでなんかない。いつだって返してるだろ」

ローが反論すると、ボブはかっと顔を赤くした。

「成る程ね」

女性は屈んでローと視線を合わせた。

ヴェール越しに彼女の瞳の色が見えた。

キレイな黄金色の瞳。

彼女は暫くローを見つめた後、ヴェールをゆっくり外した。

彼女の素顔を見たのは初めてだった。

ウェーブを描く艶やかな琥珀色の髪。ハート型の小さな顔。目は大きく、白い肌に瞳の色がよく映えている。

夏の夜に響き渡る稲妻とか、雨上がりの虹とか、台風の後の暗い雲から差し込む太陽の光とか、俗にいう美しいものを何度か見てきたが、今までこれほど胸を揺さぶるほど美しくものは見たことがなかった。


キャサリンはローが抱えている本の題名を読み、納得するように頷いた。「あなた、医学に興味あるのね」

ローが答える前に、彼女はボブを見た。「ねぇ、ボブ。私がこの本の代金を払うわ。だから彼を見逃してくれる?」

「だけど、キャサリンさん・・・」

「大丈夫、もう彼は盗みなんかしないわ。でしょ?」

キャサリンの瞳に見つめられローは自然と頷いた。

「はい。これで解決ね」

彼女はにっこりと微笑んだ。

笑うと愛らしいえくぼができて、彼女をより一層美しくみせた。

さすがのボブも何も言えなくなってしまい、最終的にキャサリンは一銭も支払うことなく、ローと共に本屋から出た。



「もう人のものを盗んではダメよ、ロー」

外に出るとキャサリンがやんわりとたしなめた。

「どうして俺の名を…」

「あなたを知らない人はいないわ」

「あんたもだろ」

ローがやり返すと彼女はクスクスと笑った。「まぁね。ここには何年もいるから」

ローはピタリと足を止めた。キャサリンが不思議そうに首を傾げる。

確かに、キャサリンはローが子供の頃からこの街にいた。

今日まで彼女は軽く40は超えているだろうと思っていたが、始めて彼女の素顔を見て、まだ自分とそう変わらない年齢なのに気がついた。

「あんた、一体何歳だ?」

ローの突拍子もない質問にキャサリンは目を丸くしたが、やがてミステリアスに微笑んだ。

「秘密」

また秘密だ。ローはいい加減うんざりしてきた。

「じゃあなんでいつも隣に違う男を連れているんだ」

その瞬間彼女の表情が曇り、悲しげに笑みを浮かべた。「それは言えない。絶対にね」





と、どうでしたでしょうか?!
勢いで書いたローの過去夢!出会ったミステリアスなキャサリン嬢。名前はキャサリンかローレライで悩みました(笑)

反響よかったら連載しよーかなと。あらすじは…

ローが昔出会った美しい女性、キャサリン。ローが生まれる何年も前から彼女はローの住む町に住み続けている。だが、ヴェールを外した彼女はローと同年齢に見える。そしていつも彼女の隣には違う男がいる。秘密だらけの彼女に、ローは惹かれるが、ある日匿名の情報が海軍に流れる。それはキャサリンが男たちの魂を吸い、若さを保っているというものだった…。真相を確かめるべく、海軍から青雉が送られ、キャサリンは彼に囚われてしまう。街の広場で彼女を縛り付け、青雉は彼女に正体を明かすように脅す。さもなければ街を潰すという青雉に彼女は自分が何者か打ち明ける。彼女は動物系の悪魔の実を食べたバンパイアだった。
バンパイアは不老だが、血を5年飲まないと死んでしまうため、彼女は所謂悪党を誘惑し、その血を飲んでいたのだ…。ショックを受けるローの前で青雉は彼女を氷漬けにして封印し、彼女を連れ去ってしまう…。
そして五年後の今、ローは彼女の居場所をつきとめる。そこは昔政府の研究所だった、あの島だった…


と原作沿いです!一応キャサリン嬢のプロフィール。

photo:01



名前 メラニー・D・キャサリン

年齢 不詳

身長 163センチ

体重 42キロ

誕生日 8月1日(ヴァンパ❽イ❶ア)

その他 物腰柔らかで、いかにも地位のある女性だが、暗黒街にも足を踏み入れている 顔が広く、七武海とも顔見知り。詳細はまた。


もしこの話をもっと読みたい方はコメください。興味ねぇよ、ってかもっとおもろい話をかけよ、とゆー方はスルーで。