「オレ、歯茎に嚢胞あんスけど、そこが痛み出しちゃって。
抗生剤飲みたいんす。何がイイッスか?」
という、感染症コンサルトとしては0点の質問をうけました。

「餅は餅屋へ、歯は歯医者へだ!」と答えるのが、
先輩としても、感染症コンサルタント的にもよい解答だと思うのですが、
僕の中の感染好きのプライドがシクシクと刺激されてしまったため、
けっこうしっかりと考えてみました。
歯性感染症は嫌気性菌が原因となることが多いため、
Prevotella属の産生するβラクタマーゼを
どのように回避するかが問題となります
(口腔内には薬剤耐性の王様、Bacteroidesもいますが、
歯性感染症の起因菌としてはあまり多くありません)。
通常はβラクタマーゼ阻害剤入りのペニシリンを使用しますが、
当院はクラバモックス®が小児用しか採用されていないため、
大人には使用できません。
後輩からは「クラビット®とか、どーすか?」と言われましたが、
嫌気性菌への効果から考えても、
オレの感染症医としてのプライドから考えても、
絶対ダメ!と言い放ち、

結局出した結論が、アジスロマイシン、でした。
Prevotella属への効果はまずまず。
Fusobacteriumへの効果がいまひとつですが、
焦らない感染症ならば、なかなかいいのではないでしょうか。
全ての医師がそういうわけではないと思いますが、
概して、医師は歯科口腔領域への知識が不足しており、
ご多分に漏れず、僕も歯科領域感染症に詳しくありません。
歯科医のみなさまは、口腔内感染症にアジスロ使いますか?
ご意見あれば、お待ちしています。