臨床微生物学会に参加して
風邪をもらってくる学会員の鑑、リリーラインです。
ところでみなさま、
Streptococcus gallolyticusをご存知でしょうか?
「もちろん、知ってますとも」というあなたは相当細菌ツウですが、
この菌はもともとS. bovis biotype Iと言われていたもので、
そちらであれば聞いたことがある、という人がいるかもしれません。
この菌、なぜ有名かというと、
感染性心内膜炎の原因菌として、だけでなく、
この菌がある患者から分離された場合、
その患者さんには大腸がんがみつかることで有名なのです。
Boleij A, et al. Clinical Importance of Streptococcus gallolyticus Infection Among Colorectal Cancer Patients: Systematic Review and Meta-analysis.
Clin Infect Dis. 2011 53:870-8.
ピロリ菌に合併する胃癌のように、菌が癌をつくるのではなく、
この菌は、大腸がん(や腺腫)のつくるコラーゲンが大好きなので、
そこに住んでしまうようです。

丸の内のOLもコラーゲンが好きですが、
わたしの知る限りでは、コラーゲンに住んでいる丸の内OLはいません。
この菌がどれだけコラーゲンが好きなのかがうかがえます。
大腸がんの人々の腸の49%にこの菌のDNAがあるのに対し、
普通の人々には8%しかないらしく、大腸がんのマーカーとしても
検討されているようです。
ちなみに、このレビューで、S. bovis biotypeⅡは無罪であることが
推定されています。
みなさま、S.gallolyticusをみかけたら、
おうちがないかどうかを探してみてください。