すこし、おなかの中のことを説明しましょう。へその緒はお母さんのヘソと赤ちゃんのヘソがつながっていると思っている人も時々います。ふつう、適齢の女性はともかく妊娠の仕組みや、その臓器の役割を正しく理解している人は少ないと思います。私は、何らかのへその緒のトラブルを持つ方には(特に旦那さんには)、いつもここから説明します。
受精卵から赤ちゃんができるのは当然ですが、胎盤や臍帯(へその緒)や赤ちゃんの入った水の袋(羊膜)も、受精卵(精子と卵子から作られた新たなもの)からできているのです。そのため、胎児とともに作られたこれらの胎盤、羊膜、臍帯などは医学的には胎児付属物と呼ばれます。「赤ちゃんと一緒に作られてついてくるもの」ということです。
胎児も分娩によって生まれることで、子宮のなかから居なくなりますが、胎児付属物も赤ちゃんの出生後30分以内に出てきます。もともと胎児付属物は、母体の臓器ではなく、今回の妊娠のためだけに一時的に作られた臓器だから、赤ちゃんと同様に出てもらわないと困るのです。後産などと言われるのもそのためです。実際、分娩時間もこれらがすべて出終わった時間で計算するのです!
胎盤は妊娠10ヶ月で生まれてくるときには、およそ直径20cm弱の円形か楕円形をしており、臍帯はその真ん中かやや横につながっています。重さは400-500g。子宮の壁に付着して、その壁から供給される母体の血液と、臍帯のほうから運ばれる胎児の血液を受け入れます。直接それらの血液が混じりあうことは無いのですが、母体から胎児側へ酸素や水、栄養、胎児から母体側へ二酸化炭素などの不要な物質などの受け渡しをしたり、妊娠に必要なホルモンを作るのが胎盤の役割です。
母と児の間で、違う血液型の血液が混じったら困るから、混ざらない様にうまくできているんです。そんな複雑な構造を人工的に作ろうと思ったら、工場がたくさん建つぐらい大変なことなんだそうです。胎盤ってすごいんです。