自分が責任者になって、自らが直接妊婦さんを診察したり、話をしたりする期会が若手に移行しつつあるのからかもしれないから、最近時々思う。
健診で診察をした妊婦さん、退院を決めた妊婦さんに、
大丈夫そうだから今度○日に来てくださいね。
というのは日常の決まり文句だが、本当にその日まで大丈夫かは100%ではない。
ほとんど多くの妊婦さんも赤ちゃんも問題なくその日を迎えるだろう。
90%大丈夫なことかもしれないけれど、99%大丈夫にする努力をするのが我々産科医のつとめである。
あれこれ確認をして何か問題をみつけだしたり、手を加える判断も必要なのである。
なかなか、これを若手に理解、実現させるのは難しい。
自分もへそ、胎盤のトラブルで残念な思いをしたことがあるからこそ、今の自分の研究があり、臨床でのスタイルがある。
すこしでもそういう問題を減らしたい、そういうモチベーションが必要なのであるが、実感できないかぎりは、なかなかそういうモチベーションはもてるものではない。
でも実感するような出来事に出合って欲しくはない。
そこが悩ましい。
若手からは、私が、サクサクといろいろな判断を下しているのを見て参考にしていることだろうが、妊婦さんを健診で返す時、退院を決めたとき、超音波を終えるとき、胎児心拍数モニタを外す時、ひとつひとつにドキドキしながら「だいじょうぶか?」と悩み、判断していることは伝わっているだろうか?
そうやって、妊婦さんや赤ちゃんを見送るときは、
「次回あうときまで無事にすごしていてくれ!」
と祈っていることを。