前置胎盤が前置血管に!! | へその緒のはなし

へその緒のはなし

「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

 もうひとつの嫌なマイグレーション(胎盤の位置移動)がありますビックリマーク

 胎盤は、子宮の壁から供給される血液で成長します。血流の悪いところや何らかの理由で破壊されてしまったところは、委縮して薄くなって退化してゆきます。

 へその緒の異常編でもお話してきましたが、子宮の下の方は子宮壁からの血流があまり良くないのです。ですから、本来は胎盤が育ちにくい場所のはずなんですが、なぜ、そこに前置胎盤ができるのかは極めて謎です。

 そのことを一生懸命調べていますが、良く分かりません。

 前置胎盤だったとしても、子宮口付近の胎盤への血流供給が悪いせいか、その前置胎盤の下の部分(子宮口近くの部分)の胎盤が委縮して退化してしまうことがあります。


へその緒のはなし


 しかし、その胎盤にある赤ちゃん側から来る細い血管の流れまでは止まることはなく、底の胎盤自体は溶けて無くなってしまいますが、胎盤の血管だけが子宮口の上に取り残されることがあるのです。この血管は、赤ちゃんの臍帯からくる血管の端っこ、つまり前置血管になったということなのです。

 胎盤の一部が溶けて無くなっても、大きな胎盤の他の部分でなんとか全体の酸素、栄養供給をまかなってくれるので大丈夫です。もし、同時にこの血管も委縮して無くなったとしても他の部分が頑張ってくれるから大丈夫です。

 でも、この血管だけが頑張って残ってしまった場合は前置血管になったことを示します。


へその緒のはなし
下側の胎盤が無くなって、逆U字型の胎盤ですが、その膜の様に薄くなった部分に前置血管がいます。



 パッと見、前置胎盤の子宮口付近が薄くなって、前置胎盤が治った(移動した)ように見えるかもしれません。しかし、そこには細い前置血管ができていることもあり、そのことはよく見ないと分かりません。

 前置血管の起きやすい状況として、中期に前置胎盤や低置胎盤だった人ということが報告されています。しかし、このことは産科医も含め、意外と知られていない事実なのです。



 そもそも、前置胎盤の下が多少委縮したといっても胎盤が低めであることには変わらず、帝王切開されることが多いから、トラブルも少ないのだと推測しています。実は、「低置胎盤の、かくれ前置血管」は密かにいるのだと信じています。

 多くの産婦人科の先生がたへ、前置胎盤が治ったら、前置血管にも注意してほしいと思っています。




右のアンケート調査強化実施中ですロケット

いつもポチぺたありがとうございます晴れ
にほんブログ村 マタニティーブログ 妊娠・出産へ
人気ブログランキングへ
ペタしてね