下の卵膜付着は長い | へその緒のはなし

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「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

 もう一つ分ったことがありました。私の卵膜付着観察ノートには、胎盤の大きさや臍帯の長さをはじめとする、数多くの測定値が記載されています。

 へその緒の膠質のついていない、へその緒の大事な血管がむき出しになっている部分(弱い部分)の長さについて調べたことを話します。。


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 卵膜付着のむきだしの部分の長さは、卵膜付着の場所が、

 子宮の上のとき 平均4cm
 子宮の中のとき 平均5cm
 子宮の下のとき 平均10cm

 だったのです。

 卵膜付着の部分というのは、へその緒も胎盤も正常でなく、一部形が崩れて壊れている状態なのです。子宮の下の方ほど、その壊れ方が大きいということです。

 前に、下の卵膜付着は緊急帝王切開が多いとお話しましたが、それは、赤ちゃんの頭が弱いところを刺激しやすいというせいでもあるのですが、破壊の程度が大きいから、さらに不利な状況になっているとも考えられたのです。

 赤ちゃんの生まれる前のお産中には必ず破水します。破水は卵膜が破けることです。ふつう、破水する場所は子宮の下の方です。下の卵膜付着は、破水したときに弱い血管まで、切れてしまうかもしれません。

 卵膜付着の破裂で亡くなってしまったような場合は、下の卵膜付着が原因だった場合が多いのかもしれません。




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Ultrasound in Obstetrics and Gynecology 2006; 27: 425-429