私の胸には循環器科を示すネームプレートがついている
暗く寝静まった病院内を歩き、何故か見回りを行っているのだが
本来、病院の先生は夜中に見回りに行くだろうか?
「カツカツ」と自分の靴音が鳴る。おかしい,,,。
私が知っている医者は院内では革靴は履いていないだろうに。
そうか、今夜だけは医者になっている訳か
エレベータのボタンを押しながら待つ
ドアが開くと同時に、仄かな甘いにおいが鼻腔を抜けていく
彼女だ
夢の中で脳に神経が繋がっていく
あぁ、彼女の首下のかおり
まちがい、人それぞれに識別できる指紋のように
そう、香りの指紋。
脳幹に届きオトコのスイッチが入る
導かれるように病室へ
6人部屋の一番奥、窓側右のベッドにカーテンが
薄明かりを灯している
まわりに気がつかれないように、革靴を脱ぎ近寄って
そっとカーテンをあけた。
マスク姿で横になっていたけど、目元ですぐに分かったよ
そっとカーテンを閉めて、僕は白衣を脱いだ。
起きてる?
僕はそう声をかけた,,,,
つづく
