夢枕獏、空気枕ぶく先生太平記、憲法でも法律でもなく | 新時代思考記

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令和の時代も考え続けます!

夢枕獏「空気枕ぶく先生太平記」(1998年)という文庫本を読み終えた。

大変面白おかしく楽しい文章によるお話だった。夢枕獏の作品、私は大好きである。

小説というよりも手記形式という感じか。書かれていることの全てが事実ではないにしろ、夢枕獏の普段の生活がどのようなものかが何となく窺い知れる。

 

恐らくこういった売れっ子作家というのは、常に楽しいことを考えているのだろう。その思考の積み重ねがそのまま作品となっている。小説でもエッセイでも、奇想天外なお話の元になるものは、普段からの思考が奇想天外だからだろう。

天才、という一つの言葉で片付けるのは余りに簡単だが、夢枕獏の天才的発想の基というのは、きっと、普段の思考からの地道な努力の賜物に違いない。

全237ページ。

 

 

これからの時代というのは、個人個人それぞれの倫理観というか、道徳観というか、純粋な感情というか、義理と人情というか、そういった他に頼ることのない、自分個人の考えから来る判断に重きを置くことでしか、逞しくは生きられない。

 

人によっては、国家の定めた憲法や法律を守ることが自分を生きることだとして勘違いしている。そうではなく、それら法による制約が完全に取っ払われた状態の中で、倫理観みたいな自分の感覚を中心として生きることが、実は自分の人生を生きるということである。

 

そうは言っても、勿論、社会生活の上での最低限のルールは必要だ。しかし、これまでの時代のように、厳しいルールを沢山作ることで人民を縛り上げてきたような、悪の組織はこの世界から居なくなるので、この社会生活上のルールですら、最低限の数へと減ることだろう。

 

憲法でも法律でもない、自分の良識ある判断で生きることが、真の自由であるということ。

これらをしっかりと肝に銘じ、必ずやって来る素晴らしき新時代に備えておきたい。