俵万智「恋する伊勢物語」(1992年)という作品。
初めて読む超有名歌人のエッセイになる。
最初は非常に面白いかもしれないと期待して読み始めたが、段々と飽きてきてしまった。
在原業平とかいう平安貴族のプレイボーイの話には興味がないし、短歌を頻繁に挟み込みながらの文章は何だかめんどくさくなってしまったのだ。文章自体は分かり易くて良いと思う。女性らしい優しい文体である。
昔から日本人は歌を大切にしてきた。今でもミュージックという形で老若男女にその素晴らしさは継承される。
尤も、私も洋楽・邦楽問わず大好きでよく聴いている。しかし、最近の邦楽には余り魅力を感じない。
まず歌詞の言葉が馬鹿みたいなのである。まるで素人の言葉の羅列。昔はもうちょっと味わいというものがあったのだが、今の音楽は軽薄と言わざるを得ない。おまけにメロディもそんなに良くなく、ヒップ・ホップに代表されるように、リズムとダンスだけという印象も強い。
想像力を逞しく掻き立てる豊饒な言葉やメロディはどこへ行った??
俵万智の居る現在の短歌の世界でも、言葉の瘦せてゆく現象は顕著に感じられているかもしれない。