木内昇「火影に咲く」(2018年)という文庫本を読み終えた。
私の大好きな作家、木内昇氏の作品とあってとても楽しみながら読んだ。この作品も、なかなか面白かった。
小説のタイトルこそ忘れたが、最近は、読売新聞朝刊にも連載されている。
直木賞作家なのに余り派手には世間に知られていなかったが、これで知名度が飛躍的に広くなる気がする。だって、実力ある作家だし。面白いし。
木内氏の書く時代劇も普通の小説も面白い。人情を描かせたら作家の中でも一番、ではないだろうか。
約300ページ。
早く世界が完全に正常化しないかなぁ、などとぼんやりと祈っている。
サイコパスや悪人が、そこら中の辺り一面に、うじゃうじゃしている世の中は、もう嫌だ。
まともな善人が、引っ張ってゆく世界を、私は切に願っているのだ。
過去を振り返ると、今までは悪人たちが世界を引っ張っていった。
我々を悪い方向へ悪い方向へと、ぐいぐいと力強く導いていた。
我々はこの状況に、まるで気付けなかった。
この先には良い世界が広がっていると心から信じて、悪人の導くままに何となく付いていった。
しかし、そんな幻想の時代も遂に終わりを迎えた。
現状は、今後の時代を引っ張る人が、一体どちらの側の誰になるのか、という激しい争いが起きていると言えるのだ。
第3次世界大戦、と深刻な言葉で名付けられている理由は、そういった重大な出来事に違いないから、ではないだろうか。