6月22日(土)

第4,326話

 

こんばんは

今日も素敵な1日を過ごされましたか?

まずは1杯、今日の疲れを癒してくださいませ

 

 

 

 

 TODAY'S
 
その時間は二度と戻らない

 

 

なんでこんな練習を・・・

なんでこんなに苦しいことを・・・

 

 

今から練習するのに

7km走れ!!って、マジ鬼やん

 

 

宿舎だった紀州路みなべ

 

 

その地下出口を出ると

目の前に南部湾が広がる

 

 

左手に海を見ながら4km走ると

山道になる

 

 

しばらく国道沿いの

脇道を進む

 

 

やがてその道も尽きて

国道に吸収される

 

 

トラックやダンプに怯えながら

できるだけ控え目に走る

若かりし日の自分の姿が目に浮かぶ

 

 

投手練習をしていたから

長距離を走るのは得意で

常に先頭集団で走っていたあの日

 

 

クリーンセンターが見えたら左折

最後の最後で心臓破りの坂を登る

 

 

登り切ったら果樹園が広がる

ここは南高梅の里

 

 

梅の木の間を走ると

やがて下り坂になる

 

 

さっき走ってきた南部湾沿いの道が

遠望できたら一瞬で球場に到着する

 

 

 

 

マネージャーが

ストップウォッチのタイムを

伝えてくれる

 

 

「山さんお疲れ」

「●●分●●秒」

 

 

「おぉ!」

肩で息しながら

応えてグラウンドに一礼

 

 

長い1日が始まる

 

 

 

 

大阪府立盾津高等学校野球部

 

 

公立高校なのに

この高校野球部は

なぜかしっかり春のキャンプがあった

 

 

12月の期末試験が終わると

部費を稼ぐために部員全員で

魚屋のバイトに行く

 

 

日給1万円やぞ!って

一瞬喜ばしておいて

勤務時間を聞いて愕然とする

 

 

朝5時から夜9時まで

16時間労働って

いつの時代だよ!!って

ぶうぶう文句言ってたな!!

 

 

1月2月はノースロー

ロングティも何もなくて

 

 

素振り&ティバッティングのみが

許されて

 

 

バッティングしたい

思いっきり投げたい

 

 

そんな想いが湧き出てきた頃

春のキャンプに行く

 

 

 

 

成城工業高校

南部高校

そして盾津高校

 

 

母校以外の2校は

当時めちゃくちゃ強くて

 

 

合同キャンプでも

強豪校の雰囲気がバリバリあって

 

 

バッティング練習で

4番同士が並んで打つのが

憚れるくらい

 

 

南部高校 濱中治

成城工業 横井善郎

 

 

この2人の実力は

抜きん出ていた

 

 

濱中治は、のちに

阪神タイガースに入団

 

 

横井善郎は

大学のセレクションを経て

社会人野球、東邦ガスに入団(入社)

 

 

今でこそ

「よこちゃん、よこちゃん」と

仲良くしているが

 

 

高校3年の夏

大阪商業大学のセレクションを

一緒に受け

 

 

こんな奴が上で野球するんや!!と

引導を渡され

僕はバットを置くことになる存在

 

 

あいつらの打球

とんでもなかったなぁ

 

 

俺もスタンドインはしてたけど

あいつら

スタンドオーバーやったなぁ・・・

 

 

そんなことを思い出した

初夏の夕方

 

 

 

 

どんなに苦しくても

その時間は輝いていた

 

 

その時は

輝きに気づけなかった

 

 

でも振り返れば

眩しすぎるくらいに輝いていた

 

 

高校野球なんて

1年生の4月に入部

3年生の7月に退部

 

 

甲子園に行けば

少し延命できるけれど

 

 

たった2年3ヶ月しかできない

 

 

 

 

だからこそ

47歳になる年だからこそ

思う

 

 

今この一瞬は二度とない

 

 

戻ることはない

どんなに願っても

1分すら戻らない

 

 

だから

悔いのないように

命を燃やしたい

 

 

あの日

手を抜かなければよかった

 

 

そんな後悔を

未来にすることのないように

 

 

今、今、今

 

 

そう、今この一瞬を

誰よりも大切にしたい

 

 

 

 

あの日を

僕の原点を

そして

大切なことを

 

 

思い出させてくれて

ありがとう