今日はだいぶ体調が良かったので、会社に書類を提出した後、日仏学院のモリエール・コレクション第3回目に参加してきました。
今回のDVD上映&講演テーマは「タルチュフ」。
モリエールのもっとも脂が乗った時期に生み出された、傑作喜劇です
舞台はルイ14世が治めるフランス17世紀
資産家のオルゴン家に「タルチュフ」と名乗るクセ者(もともとは、無一文で乞食同然だった、と出自が語られます)が紛れ込み、一家を引っ掻き回すストーリー

です。
オルゴン家の当主とその母親は、タルチュフを「素晴らしい徳と信仰の持ち主」としてほめたたえ、身内同然に手厚くもてなし、財産を譲って娘婿に・・・とまで持ちかけます。
一方、当主の妻や子供達、そして召使いはタルチュフを「胡散臭いペテン師」と断言(!) 何とか追い出そうと必死

なのです。
実際、タルチュフはオルゴン家の財産が手に入りそうだと踏むやいなや、当主の妻に言い寄りはじめ

・・・かなり怪しい雰囲気です。
結局、タルチュフは当主の妻の計略にまんまと引っかかり、追い出されてしまいます。
この劇は、単純に読むと「タルチュフ」という偽善者が、「オルゴン」というお人好しの資産家を手玉に取って財産乗っ取りを企むも失敗、最後はバラバラだったオルゴン家の絆も回復して、めでたしめでたし・・・

という、勧善懲悪物語に見えます。
が、それでは何だか物足りないな~という気持ちがぬぐえないのも確か。
それというのも、資産家であるオルゴン家の人間たちが、そんなに単純な「善」だとは、とても思えないからです。
むしろ、自分たちの利益を守るために、家族ぐるみで何とかタルチュフの失点を誘い出したのでは・・・? 事実というのは、ともすると、最大多数の人間にとってもっとも都合の良いものにすり替わってゆくのではないだろうか?
そんな見方をするのは、深読みのし過ぎというものでしょうか。
(実際、「考え過ぎじゃない?」と時々言われることがありますが

)
なぜ、タルチュフはそこまでしてオルゴン家に食い込もうとしたのか?
彼の本当の目的は何だったのか?
何が彼をそんな行動に駆り立てたのだろうか?
劇中では語られない、そんな部分に思いを馳せてみると、何だか作品がひと粒で二度美味しい気分にもなるのです
(そんな妄想好きは私だけ・・・?)
タルチュフは、すんでのところで財産を逃してしまいましたが・・・当主に気に入られて財産分与を受けたなら、それはべつに違法でも何でもないはず。
信心深くても、過ちを犯すことはあるはず。
そんな感想は、あまりに楽観的でしょうか?
善と偽善を分かつものって一体何だろう・・・?
などと、久しぶりに考え込んでしまいました。