むかしむかし、ある田舎の町に
2人の医者がいました。
1人目の医者は、
町の人がどんな大ケガをしても、
たちどころに手術をして、
傷口をふさぎました。
その手際は、町の人から
神業といわれるほどで、
ケガをしたひとは、
その医者を頼って行列をつくりました。
1人目の医者の名前は、
ゲカイと言いました。
2人目の医者は、
診療所にいることは
ほとんどありません。
町の人を一軒一軒回って、
元気かどうか、体調で変わったところがないか
とことこと聞いて回っていました。
医者らしくない2人目の医者は、
町の人からはヒマそうに見えていました。
2人目の医者の名前は、
ナイカイと言いました。
町の人は、口を揃えて言いました。
「やっぱり、何かあったときは、
ゲカイ先生のところにいくわよね」
「そうね!
ゲカイ先生は、とっても頼りになるからね」
毎日、毎日、
ゲカイ先生の診療所は朝から行列ができます。
反対に、
ナイカイ先生の診療所は
だれも人が来ません。
ある日のこと、、、
ゲカイ先生のところに、
頭が痛い、頭が痛い、
と言いながら、1人の患者さんがやってきました。
「先生、助けてください、、、
頭が割れるように痛いんです、、、」
ゲカイ先生は、
すぐに原因を探しましたが、
どこも異常はありませんでした。
「どこも悪くないですよ?」
とゲカイ先生。
「でも、すごく頭が痛いんです!」
と患者さん。
ゲカイ先生は困りました。
見た目では、悪いところが
まったくわかりません。
でも、患者さんは、
本当に辛そうな表情をしています。
そんなときです。
ナイカイ先生がゲカイ先生の診療所にやってきました。
「どうかしたんですか?」
とナイカイ先生。
「いやぁ、、、どこも悪いところが
見当たらないのですが、頭を痛がっていて、、、」
とゲカイ先生。
「ちょっとベッドをひとつお借りしても
よろしいですか?」
とナイカイ先生は、
頭が痛い患者さんをベッドに連れていきました。
ナイカイ先生は、
患者さんに楽な姿勢にさせて、
どんなふうに痛いのか、
いつから痛いのか、
ゆっくり聞いていきました。
頭にときどき手を当てて、
痛いところをさすってあげました。
すると、患者さんは
すやすやと眠るではありませんか。
「な、なにをしたんです?」
とゲカイ先生。
「え、まあ。痛いところを聞いて、さすっただけですよ。」
とナイカイ先生。
「いや、そんなはずはない!
さきほどまで、あんなに辛そうにしていたのに!」
とゲカイ先生。
「たぶん、ただの寝不足じゃないかなぁ。
最近、夜遅くまで仕事をしていたみたいだし。」
とナイカイ先生。
「なんでそんなことがわかるんですか?!」
とゲカイ先生。
「ときどき、見たり、話を聞いたりしてたんですよ」
とナイカイ先生。
ゲカイ先生と
診療所にいた町の人はビックリしました。
ナイカイ先生は、
地味でヒマだと思っていたのに、
そうではありませんでした。
毎日、毎日、
町の人たちを観察し、
体調に変化がないか見守っていてくれたのです。
そのできごとがあってから、
町の人のナイカイ先生を見る目が変わりました。
そして、ゲカイ先生も
ナイカイ先生から町の人の状況を
聞くようになっていきました。
2人の医者は、
すぐに手術が必要な人はゲカイ先生が、
病気やケガを予防するときにはナイカイ先生が見ることにしました。
2人の名医。
そう呼ばれるようになりました。
ふたりは協力しながら、
町の人たちのために活躍しつづけましたとさ。
おしまい。
『2人の名医』 白根航 著
...........................................................
こんな物語をつくってみました^^
この物語に出てくる
ゲカイ先生は、“外科医”です。
すぐに結果を出さなくてはいけない、
短期的で集中する仕事です。
ナイカイ先生は、“内科医”です。
患者と長く付き合って、
習慣を変える助けをする気の長い仕事です。
この物語は、たとえ話なんですね。
ゲカイ先生がしていることは、
“学習塾”や“家庭教師”です。
目の前の結果にこだわる必要があります。
ナイカイ先生がしていることは、
“言葉マジック”がやろうとしていることです。
長期的に人に関わり、
習慣を変えるサポートをする必要があります。
どちらが大事、という話ではありません。
協力して手を取り合ってこそ、
相乗効果が生まれる、ということです。
ただ、日本にはいま圧倒的に
ゲカイ先生が多い状況です。
ナイカイ先生が少ないんです。
ナイカイ先生が、いま世の中に求められています。
次は、あなたがナイカイ先生になりませんか?