スツールを作~るワークショップ | 夢工房 ポラーノ

夢工房 ポラーノ

あなたの想い、カタチにします!
国産材・間伐材を中心に、木工品の製作を行っています。

国産木材の利用啓発・促進を目指し、
ものづくりを通じて日本の山を元気にします!

師走に入り、今年も僅かとなりました。
今回は、プライベートワークショップのご依頼を受け、出張しました。
会場は、セルフリノベーションされた古民家。
http://weekendrenovation.wix.com/weekendrenovation

DIYの面白さを体験していただくと共に、自宅のキッチンで使うスツールを製作したいとのご希望です。
課題は、丸い座面と脚を繋ぐ貫で構成された、シンプルなもの。
脚には角度が付いており、難易度の高いものとなりました。

まずは製図からスタートです。
形状は同じですが、用途に合わせて、お好みの高さで図面を引きました。

製図


ポイントは、角度。
基本の直角(矩=カネ)と、脚の傾き(転び)の角度を出すため、定規を用意しました。
矩の出ている製図板に角度定規を当てることで、容易に直角や平行な線を引くことができます。

次に墨着けです。
原寸図から、部材へカットする寸法の印を写します(生け捕り)。
生け捕った印から、角度定規を使い切る為の線(切り墨)
を書きます。

墨付け


製図で使った定規を、そのまま墨着けにも使います。
掛かりをつけているのはその為でもあります。

皆さん初めての方で、慣れない製図や墨着けに大苦戦。
思ったよりも時間がかかってしまいました。
本来は部材を手鋸で切っていただく予定でしたが、今回は時短のため、丸鋸でのカットで対応しました。
角度定規は、そのまま丸鋸の定規としても使えます。
製図から加工まで、冶具の考え方と活用を直接見ていただきました。

組み立ても、原寸図の上で位置や寸法を確認しながら行いました。
FL(フロアライン)を基準とし、脚の設置面(下端=したば)を合わせることでがたつきを予防します。
同時に、上部の貫で高さの誤差を吸収し、座面の座りを良くします。

インパクトドライバーでビスを打つのも一苦労。
下穴を開けての作業でしたが、貫に対してビスが短めだったので、二段彫りにして頭を沈めています。

丸い座面は、トリマーで抜きました。

お昼休みを使って、デモンストレーション的に現場で加工しました。
最後の一枚である5枚目で、ビット(切削刃)が軸の元から折れるというアクシデントが発生。
危険はありませんでしたが、加工に時間がかかってしまいました。

やはり、負荷の大きい加工はルーターですね。

組みあがった脚に、円形の座面を取り付けて完成です。


完成


予想タイムをはるかに超過してしまいましたが、何とか形にすることができました。

座面が脚より小さくなったのは、DIYのご愛嬌。
正面図しか図面を描かなかったので、勘違いをしました。
やはり平面・側面図も、立体的に俯瞰するためには必要ですね。

製図から行うのは大変でしたが、その甲斐あって、各自思い思いの高さのスツールが出来上がりました。
同じ形状でも、高さが違うだけで随分と印象が変わります。
初めての方でも、やりようによっては図面から作り上げることができます。

記念撮影


それぞれの、セミオーダーのオリジナルスツール。
一応の完成ではありましたが、内容も濃く、楽しみながらエッセンスを体験していただけました。

反面、今回は初の試みとして、欲張りすぎた感がありました。
また転びの脚ということもあり、細部までイメージしきれていなかったのも反省点です。

今年最後のワークショップは波乱の展開となりましたが、これも一からトライしていく過程です。
一通りの工程をやってみたことで、ポイントや難易度も分かり、抜粋や再構成による発展の可能性を感じました。

来年は本格的な木工体験も視野に入れていくべく、手応えと課題を得られた会となりました。