中国で活動する海外の人権団体・NGOを中国警察のコントロール下に置く法が可決 | チベットとビルマの難民支援 難民支援NGO"Dream for Children"公式ブログ

中国で活動する海外の人権団体・NGOを中国警察のコントロール下に置く法が可決




4月28日、中国国会で新たな法が可決された。海外の人権団体、NGO を中国警察のコントロール下に置くというものだ。人権活動家は、市民社会の「首を絞める」ものだと声を上げている。

法律は、海外NGO, 国内活動家管理法で、国家人民会議で可決された。これにより、警察が日常的に海外のNGO と人権団体を監視することが可能になる。法の施行は2017年1月1日だ。

人権団体は、この法が習近平政権によるNGO の弾圧を目的にしたものだと非難している。

「市民グループへの弾圧を強めるための手段はこれ以上中国政府には必要ありません。」
ニューヨークに拠点を置くヒューマン・ライツ・ウォッチの中国ディレクターソフィー・リチャードソンはこう述べた。

「この法は、中国の人権侵害を合法化するためのツールに他なりません。」

また、Chinese Human Rights Defenders (CHRD) も、法が国際人権基準に合致するものに改正されるまで、法を無効にするよう求めた。


最大の懸念

「最大の懸念」は、中国で活動する海外NGO の登録、監視のすべての権限が、公安省の手に渡ることだ。

中国警察は、海外NGOの事務所に入り、書類などを押収できる。銀行口座を確認し、資金を制限することもできる。

また、NGOの活動停止、登録の取り消し、NGO労働者の拘束も可能になる。

さらに、反政府罪、国家分裂扇動罪のような中国政府に害を与えるようなNGOをブラックリストに入れることも可能になる。しかし、反政府罪や国家分裂扇動罪のような罪の定義があいまいで、罪の判断が中国当局の任意の判断になるという批判の声があがっている。

中国で活動するNGOは、すでに警察の嫌がらせを受けている。その嫌がらせが今回の法により合法となる。

「中国政府が海外のNGOを国家に対する脅威と見ているということです。海外のNGOを規制することは、国内の市民グループに対しても悪影響があります。」
CHRD はこう述べた。

「国内のNGOに対しても大打撃となるでしょう。国内のNGOは海外のNGOに財政的に依存しているからです。」

中国議会は、3月16日に、国内のNGOが政府の許可なく資金を集めることを禁じている。


政府の脅威

中国のジャーナリスト Ma Xiaoming は、中国政府が直接コントロールできないものを脅威に感じていると述べた。

「中国政府の許可なく市民組織は存在できないのです。」

「政府のプロセスに従わない組織は抹消されるのです。」

「宗教組織であろうと市民組織であろうと関係ありません。彼らは、国のツールとみなされているのです。今回の法は、政府を心理的に満たすためのものです。」

習近平政権は、国際NGOが海外の政府の目的、価値観を広めるために使われるのを懸念している。

人権活動家 Xiucai Jianghu は、今回の法が習近平政権による反体制派への最新の攻撃だと述べた。

「中国政府は組織化された反体制派を恐れています。人々が集まって組織をつくれば、心の団結が生まれます。それが、中国政府にとっての脅威なのです。」

「中国政府は NGO を1つも生かしておかないでしょう。完全に根絶したいのです。」

広州の人権活動家 Guo Chunping は、自身の組織の運営がさらに難しくなると述べた。

「今回の法は障害以外の何物でもありません。誰も政府に反対できなくなります。」

「海外グループが中国に入るのがほぼ不可能になるでしょう。」

中国共産党は、平和的な市民活動を国家に対する脅威としてますます取り締まるようになっている。

【亀田浩史訳】

元の英語記事はこちら



ブログランキングに参加しています。記事が参考になりましたら応援左クリックお願いします。
↓ ↓ ↓
にほんブログ村 海外生活ブログ 国際協力へ