新型コロナの報道で、連日新規陽性者数が過去最高といった報道がなされる中、私は昨年末から、私のツイッターで、毎朝、回復して退院された方の数を報告するようにしています。今では新型コロナは多くの方は治療すれば治る病気であるということが分かってきましたので、他の病気同様、病気になったらお医者さんのお世話になり治療して治すという基本的なことが忘れられ、不安が過度に広がっているように感じ、このようなツイートをするようになりました。

 

昨日「全国で5298人が回復され退院されました。現場の医療従事者のご努力で、5日連続、新規陽性者数を退院者数が上まわり、7千床以上の一般病床が空いてますが、その事に触れるテレビはありません」との私のツイートに1万件以上のいいねをいただきました。テレビは、毎日の新規陽性者数を競うように速報として報道し、最近感染が収まり始めると、ウイルスの変異種や後遺症の話ばかりをして不安を煽り続けています。私は、「過度に恐れず、過度に侮らず」と常に申し上げていますが、過度な恐れが広がっている中、退院者情報をいいねと言っていただける方がたくさんいることをうれしく思います。

 

この私のツイートに、「これだけ病床が空いたのに待機者が多数と報道されているのはなぜ?」「一般病床はコロナ対応じゃない?」「完治していない5298人がウイルスを市中にばらまくのでは?」「危機感を持つために安心させる情報はいかがなものか?」といった趣旨の声が届いています。これらの疑問に対して私なりの答えを述べたいと思います。

 

医療崩壊といわれていますが、問題はいくつかあります。まず、全国で新型コロナの対応をしている病院は約2割です。この医療資源の偏在が一番の問題です。また新型コロナ対応いただいている病院の病床は一般病床と重症者病床に分けられます。この一般病床には無症状の方や軽症者が多く入院されています。ちなみに1月6日現在、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都3県の新型コロナ一般病床の内、46.6%を回復して症状がなくなった患者が使用していました(回復患者を他の8割の病院に転院いただく仕組みが出来れば病床不足は大幅に改善されます。そのためには指定感染症の見直しが必要です)。

 

また指定感染症として2類相当の対応が求められるため、陽性が確認されると保健所の判断を仰ぐ必要があります。都道府県でかなり努力していますが、この保健所機能がいっぱいの状況です。そのため入院調整等に時間がかかっています。退院者増で5日間で7千床以上の病床に空きが出ましたが、保健所の調整後入院となるため少しタイムラグは生じます。

 

報道で病床使用率という時に一般病床使用率がよく用いられていますが、この数字は無症状や軽症者が多く、入退院が繰り返されているためあまり重要ではなく、重症者病床使用率に本来注目すべきと考えます。ちなみに三重県の病床使用率は、1月24日現在、一般病床63.3%(357床中226床使用)、重症者病床7.5%(53床中4床使用)です。

 

退院した人がウイルスをばらまくのでは、ということに関しては、指定感染症のため、退院の基準も厳しく定まっており、そのようなことは起こりえません。このような考えは感染者への偏見や差別につながりかねないので正しい知識が求められます。

 

最後に危機感を持つため安心させる情報は出さない方がいいとの考えは、もし為政者がこのような考えをもつようになったら非常に危険なことです。新型コロナによってウイルスではなく、精神的に追い込まれて命を落とす人もいます(自殺者は7月以降急増しています)。仕事を失った方は8万人を超えました。様々な社会問題がある中、国民に危機感を持ち続けろというのではなく、データに基づいた正しい情報を共有することが大切であると考えます。

 

昨日も全国で4647人が回復され退院されました。新規陽性者数を回復者数が上まわったのは6日連続となりました。本来このような数字に一喜一憂するべきではないと考えますが、世の中が落ち着くまでしばらくは毎日の退院者情報を毎朝ツイートしようと思っています。