夜間中学校ってご存知ですか?戦争の混乱で小中学校の課程を学ぶことが出来なかった人を対象に戦後設置され、その後、中国残留日本人孤児や在日外国人などを対象に読み書きそろばんなど基礎を教えるなどの役割を担ってきました。1955年の89校をピークに減少し、現在は、10都府県34校があります。現在の夜間中学校は、未就学者(高齢者)、形式卒業者(実際は中学までの学びを終えていない者)、外国籍又は、外国にルーツを持つ日本人、学齢期(15歳未満)の不登校生徒を対象としています。

 

日本人の識字率は100%で、読み書きそろばんが出来ない人はいないと思う方が多いと思います。しかし私は最近、日本に読み書きそろばんが出来ない人が相当数いるのではないかとの危機感を持っています。全国の不登校児童生徒は、約18万人と言われ年々急増しています。また8050問題と言われるひきこもりも深刻な現状です。ちなみに三重県の公立小中学校の不登校児童生徒数は、2,271人(平成30年)となっておりひきこもりの実態調査は今年度から行われます。

 

また、全国で日本語指導が必要な外国人児童生徒が約3万人と言われ、こちらも年々急増しています。更に、把握できていない不就学の子どもが約2万人いるとも言われています。ちなみに三重県で日本語指導が必要な外国人児童生徒は、2,501人(令和元年)となっております。

 

このような現状を見た時に、学ぶことなく体だけ大人になった人が増えてくることは大きな課題であり、何とかしなければいけないとの問題意識を私は強く持っています。文字が読めることは生活するために重要なことであり、「学ぶこと」は「生きること」です。

 

私は、このような理由から三重県に夜間中学校を設置する必要性を感じ、教育警察常任委員会のメンバーで、来年4月に全国で初めて県立の夜間中学校を開校予定の高知県教育委員会と、平成29年4月に自主夜間中学校を開校し、毎月第二・第四土曜日の夜開設しており230名の生徒が学ぶ一般社団法人岡山に夜間中学校をつくる会を視察させていただきました。

義務教育課程を学び卒業証書が出せて、就学支援が受けられる公立の必要性、設置場所の問題、在籍年数を何年とするか、生徒募集案内情報を本当に必要な人にどのように届けるか、定員をどうするか、予算はどのくらい必要かなど関心を持っていたことについて聞き取ることができ、非常に有意義な調査となりました。

 

三重県では、本年7月に夜間中学等の就学機会確保のあり方に関する検討委員会が設置され、詳細なニーズ調査を行っています。議会においてこれから夜間中学校の議論を行います。この二日間の調査を活かし私自身も更に研究し、本県に公立の夜間中学校を設置できるよう取組んで参ります。