大学院の公共政策の授業レポートテーマを「ゲリマンダー」にしてレポート作成をしていますが、衆議院と参議院の選挙制度の変遷について調べてみました。戦後、様々な制度改革や定数見直しが行われていますが、衆議院においては総定数増がなされたことはなく、参議院においても総定数増がなされたのは、1970年に沖縄県が本土復帰したことにより沖縄選挙区ができて定数2増になった時のみです。

 

日本の歴史を見てみると、高度経済成長で人口が増加していた時代においても議員定数増をしたことはなく、制度改正の度に総定数削減の議論がなされ、一票の格差が問題になった場合においても〇増〇減で対応し、総定数を増やすことを認めてきませんでした。

 

これは政治家が選挙制度は民主主義の根幹であることを自覚し、自らに有利なように、特定の人や政党を利するような行為は慎むという矜持を持っていたと言えます。仮に、自らのために制度を変えようとする者が出てきた場合にはゲリマンダーと世論から批判を受け、世論のチェック機能が働いていました。

 

しかし残念なことに昨日、参議院の定数を6増する法案が成立しました。この法案は、合区によって選挙区を失った自民党の現職議員を特定枠を設けて救済するという禁じ手を使ったものであり、極めて悪質な法です。巨大なゲリマンダーが自由に闊歩する醜い国にこの国は成り下がってしまいました。

 

私たちの諸先輩方が持っていた政治家としての基本、やってはいけないことも分からない議員が増えたのか、世論のチェックがきかなくなったのか分かりませんが、この参議院議員6増法案に賛成した議員たちにこの国を任せるわけにはいけません。

 

残念ながら私は無力です。せめて国民がこのような亡国の政治家たちを許さず、選挙において強い世論を示すことを願います。