「もり・かけ問題」はもううんざりと思っている方も多いかもしれませんが、国会では6月20日の会期末が迫り様々な重要法案の採決を迎えます。働き方改革関連法案について国会ではいい議論がなされてきたと思います。国会審議の中で法案の根拠となるデータが不適切であることが指摘され、裁量労働制の対象拡大が法案から削除されることもありました。

 

働き方改革関連法案の採決が今月中にも行われるようですが、与野党の最も大きな争点となっている「高度プロフェッショナル制度」について書きたいと思います。労働基準法の根幹は「一日8時間、週40時間労働」です。これ以上の労働が可能となるのは、労使による三六協定の締結が必要です。しかし、「高度プロフェッショナル制度」はこれまでの制度の根幹から一部専門職を除外する制度で、労働時間の上限を取り払うものです。

 

政府与党は多様化した時代に様々な働き方があってもいいとの考えから、金融商品開発やコンサルタントなどの限られた専門職で年収1075万円以上といった制度適用の要件を付けて、労働生産性の向上や生活の自由度が上がるとの理由で導入したいと考えています。一方立憲民主党、国民民主党などの野党は、ブラックボックス化の原因となり、過労死を助長する可能性が高いとの理由で反対しています。

 

私も含めて働く世代は、大いに関心を持つべき議論が今国会でなされています。制度の適用要件があるので私は当てはまらないと考える人も多いかもしれませんが、労働者派遣法の事例を紹介します。

 

派遣労働者を日本で認めるか否かの大議論が30年前にありました。1986年、対象は高度な技術を要する専門的な13業務に限られて、労働者派遣法が制定されました。その後1996年には26業務に拡大され、1999年には原則自由化され、2004年には製造業なども認めらて完全自由化されました。私は日本が分厚い中間層による豊かな国から、格差社会と言われるようになった大きな原因の一つは労働者派遣法の歴史による正規・非正規労働者の問題が大きいと考えています。

 

「高度プロフェッショナル制度」には制度適用要件があります。しかしこの要件は、法律には、「高度な専門的知識等を必要」「基準年間平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準」と書いてあり具体的な要件は省令で定めるとされています。専門職とされる業種は何業種あるのか、年収1075万円以上といったことは書かれていません。つまり労働者派遣法の歴史をみると最初は今言われている一部の労働者対象の制度かもしれませんが、省令改正によって拡大されていくことは容易に想像がつきます。

 

マルクスの「資本論」までさかのぼることは言いませんが、私たちは歴史から学び政治を見る必要があると思います。採決の時の派手なアクションだけを見るのではなく国会での地道な議論、そして大きな争点にスポットライトを当てて、働くものとして、当事者意識を持って考えてみる必要を感じます。