藤沢周平さんの「一茶」を読みました。今年公開予定だった映画「一茶」がトラブルでお蔵入りになる可能性があるという報道を見たことや、大学院の授業で小布施のまちづくりを学んだ時に小林一茶という人物に興味を持ったことから手に取りました。

中学生くらいの時に俳句の授業で習った「やせがえる 負けるな一茶 これにあり」のみなぜか覚えていますが、私は俳句にはあまり興味はありませんでした。この本では、一茶の不遇の幼少期、江戸に出てから奉公先を転々として、俳句を詠みながら地方をまわり貧しい生活など寂しく孤独な人生を知りました。50歳で故郷に帰り初めて自分の家を持ち結婚し、その後三回の結婚、四人の子どもを授かりますが幼くして皆亡くすなど波乱万丈の人生を生きた人です。

 

俳人としての小林一茶の評価は後に正岡子規の登場によって脚光をあびることになりますが、その生き様は決して脚光をあびるようなものではなかったようです。最近私は人生二回と言われそのように感じているところもありますが、小林一茶は50歳を境にして二度の人生を歩んだ人であったようです。二度とも貧しく寂しい人生であったように思いますが本人はどう感じていたのでしょうか?40代半ばの私たち世代にとっていろいろと考えさせられる良書です。