国会質問の与野党の時間配分についてもめています。議席数に応じた配分にすべきとの与党の意見は一見正しいようにみえますが私は野党の配分時間を多くしてきた今までの慣例を支持します。

 

民主主義の基本は、多数決の原理と少数意見の尊重です。この原理原則に則り考えるべきと思います。

 

これまでの経緯をざっと見てみると、2009年の政権交代までは与党と野党の質問時間割合いは4対6でした。民主党政権ができ野党自民党からの要望でその割合は2対8となり、第二次安倍政権もそれを踏襲していたようです。昨年与党の質問割合が少なすぎるとの声もあり3対7となり今日に至るようです。

 

地方議会は二元代表制のため基本的に議員個人に質問時間が割振られ会派としてみると議席数に応じた割り振りとなっています。しかし私のいた三重県議会など多くの地方議会は少数会派の声を様々な形で反映し尊重しています。

 

国政が地方議会と違うのは議院内閣制ということです。多数を制した与党から内閣が作られ政権が運営されます。予算を含めた様々な議案は国会に提出される前に政府と与党の中で喧々諤々の議論がされ、まとまり予算案や法案として提出されます。そのため国会で与党の質問時間を増やしたとしても与党議員の立場では深い議論は望めません(既に喧々諤々の議論をしてまとめている立場のため)。

 

このようなことから、議院内閣制の下では、先人たちの知恵で慣例として野党の質問時間配分を増やしてきた重みと、これまでの経緯(自民党の野党時代の対応)を考えると私は今までの慣例を支持します。

 

識者の中で野党の質問がくだらないとか同じことばかり繰り返しているといった批判があります。このことは私が先に述べました本質論と全く関係ない話だと思います。

 

質問内容がどうかといったことは、議員の資質にもよりますが有権者が判断することです。また国会は各委員会に分かれて様々な議論がなされていますが、国民の関心が高いと思われることをメディアは集中して報道するため繰り返しになるとも言えます。

 

また、与党の中で本来質問時間は議席数に応じて配分されるのに野党に譲ってやっているんだ的な声も聞かれますが、このことを数のおごりと言い、民主主義の原理原則の基本に欠けた意見だと思います。

 

与党の中にも多くの議員は野党の質問時間を多く配分してきたこれまでの慣例を尊重していると聞いています。良識が覆されるようであればこの国の未来が心配です。