めっちゃハマった「ひつじ探偵団」のpostが溢れているのは嬉しいのですが、本作をサスペンスと称す明らかなデマが散見されたので、ミステリとサスペンスの定義がゴチャゴチャな方が一定数居そうなので、整理しました。
1. ミステリ(Mystery)とは
古くは神秘劇を指した様ですが、現代的な語釈は推理小説のように冒頭で提示された謎が、ストーリーの進行に連れて、或いは終盤で、論理的に種明かしされる物語。「シャーロック・ホームズ」や「エラリークィン」シリーズのように、終盤まで探偵の推理や思考過程は詳説されずとも、探偵や関係者の言動にヒント(手掛かり・伏線)が散りばめられていて、種が明かされた後に「あの伏線を見逃さなきゃ推理できたのにぃ」と読者が悔しがれる作品ほど評価が高い。
読者をミスリードし、派手にどんでん返することばかりに熱心で、鑑識や司法解剖などの捜査情報を読者に十分な与えない作品は、ミステリ風オチ噺とかドッキリ物と呼ぶべきで、正統派のミステリの足元にも及びません。
2. サスペンス(suspense)とは
読者や観客の心を宙吊り(suspend)状態にする作品。殺人事件が主題でも、サスペンスでは必ずしも謎は要りません。読者には真犯人が知らされていても、主人公が警察やマスコミから犯人と勘違いされ、逃げ回りつつ終盤に犯人と対決する作品は定番。勿論、犯人が不明で、主人公が自分も殺され得る恐怖に苛まれる作品もあるあるです。怖がれせ方が極強だとスリラー(thriller)、オカルト染みているとホラー(horror)とも呼ばれガチです。
3. 両者の違い
「ミステリ」は謎とヒント付きの種明かしが必須な知的エンタメですが、「サスペンス」は謎があっても無くてもどっちでもよく、観客の不安を煽りつつ、しばしば派手にどんでん返しで終幕する作品です。ミステリは脳を疲れさせ、サスペンスは心を疲れさせる作品と言えるかもしれません。
「ひつじ探偵団」は、誰が羊飼いを殺したのかという謎が明示され、探偵役が関係者の事情を明らかにし、手掛かりを見事につなぎ合わせ、巡査と協力して犯人の自供を引き出す本格派ミステリ。探偵役が危ない目に遭うパートや仲間が犠牲になる展開も多少ありまが、大半の時間はヒツジたちの軽妙なやりとり笑わされてホンワカする作品で、観客が不安な気持ちになる作品ではなく、明らかに「サスペンス」ではありません。
日本は一時期、ゴールデンタイムをサスペンス劇場が占めていて、2Hのミステリ風サスペンスドラマが氾濫していたので、ミステリとサスペンスの区別が付かない人が一定数居るのかもしれません。
| 作品 | 年 | ミステリ度 | サスペンス度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ひつじ探偵団(映画) | 2026 | 90 | 20 | 鑑識が居ない設定は、ちとアンフェア |
| 容疑者Xの献身(映画) | 2008 | 90 | 60 | 仕掛けが高度過ぎて、初見では観客が謎の本質に気付きにくい |
| Death Note(漫画) | 2003 | 50 | 100 | 黒幕は明示されているが、探偵役Lとの攻防にミステリ要素あり |