山本有三さんの「路傍の石」を読みました | 女医の国際精神保健

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精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

路傍の石 (偕成社文庫)/偕成社
¥972
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内容(「BOOK」データベースより)

裁判にかまけて家をかえりみない父。針仕事で家計を支える母。中学へはいって勉強したいという望みを絶たれ、呉服屋に奉公に出た吾一は、苛酷な現実に歯を くいしばる。古いものと新しいものとが混沌としていた明治という時代に、夢を追いつづけて生きる少年の心の成長をえがく。小学上級から。

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実家の本棚にあったので、読んでみました。

すごい!
ぜひ、皆さんに読んで頂きたい!

怒濤の時代に生まれ、勝手気ままな父親に巻き込まれ、いろいろ我慢した幼少時代。
まっすぐに純真に一生懸命生きます。
母は応援してくれますが、無力。(この時代の女は本当に選択肢が狭くてつらい!)
学のある近所の人や先生もところどころ応援してくれますが、至らず。
知恵を振り絞って一生懸命生きます。
心の機微の描写がすごい。

もー、泣けてくる。
私はWHOではなくてUNICEFで勤務すれば良かったのではないかしら?って考えちゃう。
子供はやっぱり保護が必要だし、指導が必要だと思う。
子供が安心していられること、おなかを空かせてないこと、思い切り勉強できること、つきたい仕事を目指せること。
親の事情やら社会の事情やら、子供に直接責任はないのに、子供は選べないばかりか最初に犠牲になる。

青年期にさしかかっても、やっぱり色々苦労する。
でも、純真なまま頑張る。
応援してくれる人も少しずつ安定して増える。
ほのかな恋心とか登場する。
おお!私、嬉しい!とか、思っていると、ぶつっとお話が終わってしまいます。。。
どうやら、軍部の圧力があったらしい。。。
「皆が手をつないで、誰も落っこちて困らないように」的なあたりが、社会主義的で当時はだめだったそうです。
本の中でそんな発言をした人は二年も刑務所に入っています。。。。
うーん、そんなご時世だったら、私は一生政治犯ですね。。。。
それにしても、そんな時代がありながらも、日本は世界でもまれに見る成功した社会主義国家のように思うのですが、どうでしょうか?国民皆保険とか義務教育とか。(日本とスカンジナビアね)

そんなこんなで、ひたむきな少年の心の機微にどっぷりはまる一冊です。
ぜひ、皆さんに読んでもらいたい!おすすめ!!