mhGAP IGでトレーニングをしました | 女医の国際精神保健

女医の国際精神保健

精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

「フィジー!?遊び?? え??仕事!どんな???」
と聞かれることが多いので、仕事の一部を紹介いたします。
ここ にも少し記載しました。
(仕事のことって、どこまで書いて良いか悩ましいので、書きにくいですね。。これも練習次第かな?)

先日は、WHO発行のmhgap intervention guide に付随するトレーニング教材を使って「うつ病」に関する研修を行いました。

対象者:フィジー若手医師(フィジー西部の医師8名出席)
会場:フィジー保健省
講師:私
講師補佐:フィジー若手精神科医
所要時間:8時間

「やっぱり人材育成は大事だなあ、何か私にもできないかな?そして、私が離れた後も続く形式が大事だな」
と思いを巡らせていました。
そこで、昨年のWHOインターン の際に一緒に仕事をした際の先輩に
「フィジーでもmhGAPを使えそうです。トレーニング教材ができたらパイロットをしても良いですか?」
と問い合わせたところ
「お、うつ病に関する部分は完成しているよ。パイロットの様子をぜひ教えてくれるなら、使って」
とのお返事で、ファシリテーターガイドとパワーポイントを送って頂きました。

研修の概要を、上司に伝えて、同僚に伝えてとしたところ、
「精神科だけでなくて、保健省の一般診療部と組んでやれば、広く展開できるわよ」
とのことで、保健省に話がつながり、あっと言う間にそこから2週間後の研修が企画されました。
研修室、食事、材料、出席する医師の招集などは全て保健省が行ってくれました。
そして、地元精神科医若手君は、精神科病院で私が直接リクルートし、病院長にお願いして、当日補佐として来てくれました。
次回は彼が講師となります。
ここへもう一人精神科若手が補佐に来てくれたら、次はその医師が講師となり、と講師が増殖していける予定です。
そして、この教材は、うつ病以外の教材も年内に揃うはずで、構成が同様なはずなので、この方式で講師が増殖し、受講者も増殖してくれたら良いなあと思います。

トレーニング教材は、非常に実践的にできています。
症例検討から始まり、うつ病の診断、うつ病の治療/管理と続きます。
講義、班討論、クイズ、模倣演習などの形態が組み合わされ、参加型が重視されます。
皆、積極的に参加してくれ、日常の診療の中で出会った経験や疑問なども話してくれます。

一日は長いかなあ?と思いながらの研修でしたが、あっという間に一日が終わりました。
おさらいのための口頭クイズも、皆がさくさく回答し、「若者の記憶力ってすごい!」と私感動。
「双極性障害の分もいつかやりますか?」
「統合失調症の分をやるときは、ぜひ教えてください」
とリクエストをもらった時には、私満面の笑み!

進達度を確認するために、研修前と後でテストをします。
自身もつけ、知識もつけたことが分かる比較結果でした。

トレーニング教材を忠実に使うことももちろん大事ですが、ふと飛び出した参加者からの疑問にどれだけ明確に応えられるかで、参加者から講師への信頼感が変わります。
また、私が自分でしていた臨床上の工夫などを交えて説明したりすると、実感が湧くようです。
一日の終わりには、「うつ病」「精神科」の枠を超えて「先輩医師と新卒医師」の雰囲気になり、私の心境も「うつ病への理解が深まりますように」から「信頼される良いお医者さんになるんだよ~」の気分に。

いろいろな経験を積むことができる今回の境遇に感謝し、「若手はかわいいなあ」と思っている自分が年齢を重ねだしていることを認識し、、、一日が終わりました。
関係者の皆様、ご協力ありがとうございました。

これからも頑張ります~