LSHTM Student Symposiumに行きました | 女医の国際精神保健

女医の国際精神保健

精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

これ に行きました。

phDの学生がたくさん発表したようです。
私は最後の3名分しか聞けませんでしたが、その内の一名が賞を受賞していました。
大きなRCTの話しをしていました。
すごい~

前回 も聞いていろいろ学んだので、今回も期待しながらDavid Heymann教授のシンポジウムを聞きました。
"diplomacy in global health"がお題です。
(あれ?前からLSHTMの教授だったかな?最近かな?)

WHOの活動を中心に、各ケースでぶつかる困難をどのように乗り越えるか/乗り越えてきたかの例が数個挙りました。
例えば、ナイジェリアのポリオ対策、エジプトのC型肝炎対策など。

もちろん前回同様とてもインターラクティブ。
生徒からの先生の文脈に沿わない意見も、深みが足りない意見も、救い上げてくれます。
「それも一つ大事な側面だね。更にどうしようか?」
「それも名案だけど、こんなこんなでうまくいかないことの方が多いよ」
きっと、各国の代表が譲れないポイント、譲れないプライドなどなどを持って出席する会議の議長をたくさんこなすと、相手を立てて、皆を立てて、皆が納得して一緒に前進という形式が、いつでもできるのではないかなあと思います。
そして、本人の揺るぎない実力と自信があると、そこに皆が自然と集結し、全体は議長の支配のもと進行。

「大きな国際保健の流れとしては、これまでの国際保健の取り組みとしてはvertical programが多く、特にmalaria, HIV/AIDS, TBに偏重して、しかもあまり前進のないまま、経済危機にて資金切れが起きている。sustainabilityの問題。
そこで、G8だけでは資金が不足なので、G20で医療を取り上げようというのが最近の流れ。
しかし、20カ国の同意を得るというのは8よりもより困難な上、最近発展している国にとっては「医療は発展を阻害しうるもの」というG8なら各国の経験で同意した点に意見が集約されない。
特に、インドや中国にとって現在の経済力に直結しない国民全体の医療問題には関心が向かない様子。
どうにかコカコーラのように世界のすみずみで、自力で操業を続けられる様式にしたい。」
と国際保健の歴史と現状の総括をしてくださいました。

公衆衛生の難しい点は、technical issueがpolitical issueになってしまう点。
ここに公衆衛生家達はじれったさを感じる。
この部分をオーガナイズ/コーディネイトする機関の一つがWHO。
創立のそもそもの目的はtechnicalな施設として。
しかし、それがpoliticalな場になっているので、改革案が持ち上がっていて、今後少しずつ分かるはず。
1、director generalの任期を7年にして再選なしとすべき(再選が気になって医療上必要な判断ができないことがないように)
2、elected regional directorsがdirector generalにaccountabilityを持たずに自国に持っている点が問題
などが大事な点として挙りました。

「WHOは国際保健にとっては大切な仕組みだから、最大限の能力が発揮できるようにしないとね!」
「公衆衛生は大変だけど、やりがいのある仕事だよ。これからのリーダーは君たちだよ。期待してるよ!」

少し感染症に偏重な感じもありますが、この教授のような世界の捉え方、仕事への情熱の傾け方はとても勉強になります。
世界第一線の人からふんだんに刺激を受けられるのは本当に嬉しいです。