韓国におけるSST | 女医の国際精神保健

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精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

Social Skill(社会技能)とは
1社会活動の中で適切な感情表現ができること
2効果的で、焦点を絞った、環境にあった表現や行動がとれること
を指し、自己表現、受容、交流、環境の把握などで成り立ちます。そして、これらは練習で上手になっていくものです。
統合失調症などの精神障害を患った人々はこれらが苦手なことが多く(例:他人と目を合わせたがらない、話題が広がらない)、日本国内でも広くSST(social skill training) は取り入れられています。
総論と韓国での状況を伺ったので、記載します。

社会技能が乏しくなる要素としては、
a精神症状の存在
b動機(目標、また失敗するのではないかとの恐れ)
c気分
d環境要因(努力をそぐ、資源不足、社会的孤立)
e精神神経要素(理解力の欠如、陰性症状、薬物副作用)
などが挙げられます。

基本的な社会技能は
A他人の話しを聞くこと
B御願いをすること
C前向きな感情を表現すること
D言いにくいことを表現すること(ここで、日本人も韓国人も必要以上に我慢しがちとされます)
で成り立ちます。

ヨンギン精神病院のプログラムでは、
I会話術
II対立状況での対処技術
III依頼をする状況での対処技術
IV社会活動技術
V友情や愛情の場面での状況対処技術
VI服用薬剤の管理方法
VII仕事する際の状況対処技術
などを課題に挙げ、毎回具体的な方法を検討します。なぜその技術が必要なのかを話し合い、その技術を浸かってロールプレイをし、お互いに感想を言い理解を深め、実行に移せる自信を深めます。

見学した会で提出されていた議題は、自分の秘密を話された、体が悪い人に煙草を要求された、仲間がよそよそしい、などでした。

精神障害や精神症状があったとしても、自分らしく暮らせる、自分らしく選択ができる本人の能力の幅が広がれば良いと思いますし、社会の環境が整えば良いと思いますし、皆の理解が深まれば良いと思います。
そのためには、さまざまな角度からのアプローチが必要ですね。