長期離脱2 | のだま(野球)カンタービレ

長期離脱2

セキトバさんがまだバイクに乗っていた頃、東京の幡ヶ谷、甲州街道沿いにそのお店がありました。

「ステーキ てっぺい」

楽天の鉄平とは関係ありません。

大学の授業の後、アメフトの練習を終えるとバイクに跨ります。

時には一人で…

時には二ケツで…

大学のある板橋から環状六号に入り、オーバーパスを幾つか越えてビュンビュン。

へへ、オレのカワサキ、速いぜ。

東中野のあたりは道路工事中で鉄板がひかれてたりで滑りやすい。

こんなトコですっ転ぶと後ろからきたトラックとかにプチッとされるかんな。

甲州街道への初台の交差点を吉野家を左に見てスパッと右折。
ちなみにここの吉野家は全国一号店。

首都高速の下を暫く真っ直ぐ。

京王線幡ヶ谷駅を過ぎるともう近い。

歩道にカワサキを乗り上げ、サイドスタンドをかけてエンジンオフ。

「さ、喰おうぜ」

「いらっしゃい」

「250グラムでバター醤油ね」

マスターは清原和博そっくりのハーレー乗りの強面。

ほとんど喋らずに肉を焼く。

すごく美味い。
やめられない。

特に冬。

バイクでキンキンに冷えた空気を切り裂き、ありついた熱い肉は最高だった。

テロンテロンの学生時代が終わり、仕事に就き、Jr①が産まれる。

幼稚園生のJr①の「てっぺ」という言葉と共に親子三人でカウンター。

さすがに車だったけど。

無口なマスター、会話らしい会話はした事がない。

黙って肉を焼くのみ。

最後に行ったのは10年くらい前?

昨日の豪雨の中、環状六号を甲州街道へと右折。

お店、休みだったらどうしよう?
そもそもあれから10年、お店あるのか?

ドキドキしながら幡ヶ谷駅を通り過ぎる。




photo:01



あった!

喜び勇んでお店のドアを開けると…

「いらっしゃい!どうしたの?何年ぶり?いつものバター醤油でいい?」

おー、憶えていてくれた!

「元気だった?昔のバイク仲間はどうしてる?子供は大きくなった?またウチの肉喰いに来てくれると思ったよ」

初めてご主人と会話をしました。

相変わらずの清原和博的迫力。

変わらない味。

頭の中にカワサキの排気音、冬の空気の冷たさ、小さいJr①の笑い声が蘇る。

暫し雑談。

ご主人「震災の時はさぁ、目の前の甲州街道を八王子方面に歩いて帰る人でいっぱいでさぁ、少しすると常連のお客がどんどん来るわけ。新橋とかから歩いて、今てっぺいの肉食べとかないといつ食べれるかわからないからって、被災地に肉焼きに行こうと思ったけど行く手だてもないし常連のお客さんもほっておけないしさ。」

私「震災の後は何も食うもん無かったでしょ?空きっ腹にてっぺいのステーキの事思い出すワケ。あぁ、喰いてぇなぁ!バター醤油最高だったよなぁ!」ってね。

はい、来れて良かったです。

今までのストレス、吹っ飛びました。

「また来ます」

相変わらずの豪雨、クルマを宿泊先の品川へと走らせるセキトバさんでした。

ということで次はクルマ屋さんのAさんの話。