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Drawing Man

気ままに書いた小説をあげています。

風守~幸せの場所~ 2、息抜き





「フィス、ここに住んでいるのか?」





今更何て事を聞くんだ、と思う。この台詞は彼がここに来て3回目の時。



「はあ、まあ」
「住んでどのくらいになる?」
「8年くらいですね」
「一人で?」


聞かれると思っていたが、一瞬言葉に詰まる。


「えーっと、前まではお世話をしてくださる方がいたのですが、
 ・・・何しろ70を超えるご老体で。
 この塔、造りが古くて階段がきついので、来ていただかないようにしてもらいました。」



それでも毎日来てくれていたおばあちゃんの顔を思い出す。

こんな私を本当の孫のように扱ってくれた優しい老人。

あの人は、元気でいるだろうか。



「食事は?その人が運んでたのか?」




えーっと、と答えようとして、ふと疑問が頭をよぎる。




「・・・なんか、尋問のようなのですが・・・今日は何しに来たんですか」



「息抜き」

「は?」



返ってきた答えに絶句する。―――いやいや、何息抜きって!



「あ、嘘じゃないですよ~。この人放浪癖があって。
 第2皇子なのをいいことに、いつもいつも皇宮抜け出してるんです」
 


困った人ですよねぇ、まったく、とアベルさんは苦笑する。



「・・・敵国まで?」

「敵だと決めたのは両国の偉そうな奴等であって、俺じゃない」



「・・・」

そんな理由が通用するとでも思っているのか、と問いたい。
いや、問いたとしても彼のこの性格では、
誰もが知る『常識』を期待するのは無駄なだけだということはわかったけど。


「ね?俺の苦労わかります?」

「とっても」



だから思わず、アベルさんの言葉に即座に頷いてしまった。





「で?食事は?」


―――あれ・・・やばい、視界がぐらついてきた・・・


身体が、自分の意思に反してグラつくのを感じる。

動き回ることもない、というより出来ないせいで、ここではめっきり体力が落ちてしまっていた。

普段は人と会話もすることもないので、基本ベットに横たわっている。

でも今日は、久々の人のもてなしに、身体がついていかなかったようだ。

目が回る・・・




「おい?」


ふと、意識が現実に戻される。
どうやら彼の言葉を聞き逃していたようだ。


「あーすみません。・・・立ってるのつらいんで、横になってもいいですか」



このまま身体を起こしていても、どうせ倒れるだけだと思い、

素直に今の自分の状態を告白する。


「好きにすればいい、俺は気にしない」
「大丈夫ですか?」



無表情な皇子とは対照的に、アベルさんは心配そうに聞いてきてくれる。
逆に申し訳なかった。だって別に病気とかじゃないんだし。



「あはは、体力が無いだけなんで、大丈夫ですー」

「そりゃそんだけガリガリならな」



失礼な!

・・・と言いたい所だけど、本当のことだし。
それに今は言い返すエネルギーもないので、おとなしくベットに横たわる。


「・・・で?」

「えーっとすみません。何の話でしたっけ??」

「食事」


―――そうそう、そうでした。食事の話でしたね。


「その人が運んでくれてましたよ。」


「いつから来てない?」

「・・・」

「フィス?」

「・・・8ヶ月くらい前ですかね」

「え?!どうやって生きてるんですか??!!!」



アベルさんが、勢い良くドアの近くまで下がった。
そして不可解なものを見るかのようにこっちの顔をうかがってくる。


―――いやいやいや、そう反応されるのわかってたけど。ちょっと待って。



「・・・断っておきますが、オバケじゃないですよ。
 私、風と火を操れるんです。あとは動物と、少しだけ話が。
 だから、彼らに頼んで木の実とかを運んでもらったりして・・・」



目に見えるところにあれば風を使って自分で取れるし。火を使えば調理もできるし。
水は水道が使えるから暖めればお湯だってになるし・・・。
結構生きていられるものですよー、と言おうとしたら、


「道理でガリガリなはずだな」


と無表情な顔で男、もとい皇子が答えた。そしてちらっと彼は私の全体を見る。



―――や、確かにガリガリなですけど。
      多分、彼の右手だけで私の両手首余裕で掴めそうだし。
     でも、でもですね。もうちょっと遠まわしに言ってくれても・・・



「こら!女性になんてこと言うんですか!!」


「・・・オバケ扱いよりかは幾分マシですよ。一応人間だし」


「・・・すみません」



こちらが言いたかったことを代弁してくれたのはうれしいのですが、ね。



―――・・・ところでこれって、息抜きになってるの??




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