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Drawing Man

気ままに書いた小説をあげています。

Drawing Man~11、絵を描く人~





―――春都と付き合い始めたのはね、今年の二月。





さとちゃんは幼馴染だもん、知ってるよね。とそう言って彼女は静かに笑った。


「春都とは二年生の時に、委員会で初めて会ったの。

 それまで知らなかったけど、一度見たら、恋に落ちてた。
 好きで好きで、他の子なんかに取られたくなかったから、
 一生懸命話しかけて、友達になって。



バレンタインデーにチョコを渡すときに、告白しようって、そう決めてた。



 笑って、じゃあよろしくって言われたときは、泣きそうにうれしかったのに
 やっと、他の女の子から勝ち取った場所なのに」




―――どうして、辛いんだろうねぇ。




そうして、彼女はまた、笑う。

でもその笑みは、いつもの様な、私の嫌いな笑みじゃなくて、
側に居るのが痛くて、辛くて、でも一緒にいたくて、
そんな自分を、ただ、笑うしかできない、そんな、笑み。

その笑い方を、私は知ってる。



「私も、同じだよ」


「さとちゃんも?」



そう、私も、同じ。

彼の特別になりたくて、
彼の気を惹きたくて
他の子と考え方の違う自分、人と関わるのが苦手な自分なら、
きっと、優しい彼は、心配して気にかけてくれるから。


でも・・・



「・・・私のことを、家族以上には見てくれなかった」




ずっと、ずぅっと、私の気持ちは変わらない。

ううん、変わってもまた好きになる。
嫌いなトコ見つけても

時間が経てば愛しいに変わる。




そう、それは、依世の言った「絵」のように。




絵を描く人が、何度も何度も色を重ねて、絵を仕上げるように


人は、何度も何度も『好き』を重ねて


それを、『愛』に変えるんだ。




ねぇ、依世。

もう届かないのかな。

私、こんなにも愛しているのに。


もう嫌だと何度思っても
何度苦しんでも

私は、


私は、





「―――そっか、さとちゃんも・・・春都が好きだったんだね」





「・・・うん」





―――私の絵は、醜く色あせてようとしてるよ、依世。


久しぶりに流した涙は、生暖かかった。



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