レナは、現在77歳、元女優です。
彼女はポーランド出身の世界的にも有名な演出家、グロトフスキの実験演劇時代の作品の
メイン女優でした。
私は彼女のワークを柱に、ポーランドで学んでいます。
グロトフスキがイタリアに行ってしまってからも、
彼女は彼のトレーニングを基本に、自分のワークを続け、
インドでもヨガや瞑想の修行をし、
今では若いアクターたちに、彼女のワークを指導しています。
レナのワークは、
普通に「演劇をしよう」と思う人には、????
となってしまうようです。
かなり儀式的なのです。
でも彼女が教えてくれるのは、自分に対する愛。
儀式的と言っても、即興的にシーンをいつの間にか創り上げ、
その中で、自分を表現するという意味では、とても演劇的です。
「私は女優だった時、外の世界の人たちが怖かった。
みんな嘘だらけだった。でも芝居をやっているとき、その中では皆、真実を見せていたから
安心できた」
レナがある時そう言いました。
演じる=真実の自分
え、それこそ、偽物の自分じゃないの?と
すごく矛盾しているように聞こえると思います。
実際ドラマセラピーでも、
何かの役を演じることで、思いがけず本当の自分の気持ちが現れると
考えます。
普段の、いろんなしがらみのある「自分」から
距離を置くことができる、「他の役」は、
私たちに、実は「安心して本当の気持ちを表現させてくれる」のです。
たとえ「他の役」であったとしても、
それを演じるのは、「自分」なわけで、自分の思いが出てこないはずがないのです。
また、演じているその瞬間を切り取ってみると、
それは、
「今ここで」自分が表現しているものに、集中している状態です。
つまり、それこそが、レナのいう、「真実」だというのだと思います。
日常では、頭の中は、過去に行ったり、未来を心配したり。
でも例えばスポーツに集中したり、
歌を思い切り歌っているときなど、
余計なことは考えずに、自分の体と心が一体になっていることに
気づきませんか?
そのとき、私たちは、「真実の自分」にあるのかもしれません。
日々を生き生きと生きること。
これって意外に難しいことを、私たちはよく知っています。
レナのワークのようなものを受けると、
自分らしくいること、
そんな自分を愛することを、
身をもって体験できるのです。
前回のワークセッション終了後、
レナは
「私に本当の姿を見せてくれてありがとう」
と私たちに言ってくれました。
こんな風に人と人がつながることができるワークを、
私も提供していきたいと思います。