この日のカードは宮城県出身のMAOとシングルマッチ。
会場には彼の親族や知人、友人達が大勢来ていたようだった。
試合前、大石が『もしMAOに勝ったらアイドルになってもらう』的な意味の分からない要求をして来たが、俺にはある回避策があったので要求をあっさり飲んでやった。
なぜか大石は忘れた頃にアイドル入りを勧めて来る。ただでさえ、自分で平均年齢を上げておきながら、俺を入れたらもっと上がることに気付かないのか!それとも自分より年上を入れて自分は若い気でいたいのか。どっちにしろ俺が入ったらもはやアイドルユニットではないだろ。あいつはやっぱりバカだ。
そんなことはどうでもよい。
MAOは予想以上に頑張ったんじゃないか。ただ潰すことは簡単だった。しかし、それじゃあ面白くない。あいつの闘志を引き出したかった。
だから意地悪した。
それが場外の垂直落下式ブレンバスターだ。これでリングに戻れなかったらそれまでだ。しかし、あいつはリングに戻って来た。そして、顔色を変えてガムシャラに攻めて来た。
試合結果は言うまでもないだろう。
この試合で彼の中で何かが変わればそれでいいのだ。