タイのバンコクから日本に戻る飛行機は
早朝飛び立った。
ということで、私は3時くらいから
空港にいたわけで、
とても眠くてたまらなかった。
そんなわけで、飛行機が飛び立つと
すぐに眠りに落ち、
食事が運ばれてきた時だけ起き
眠くても食事はちゃんといただき、
ついでに
ベイリースとアマレットもいただいて
さらに眠りにつく。
さらに
次の食事が運ばれてきたので
目を覚まし、食べ始める。
ふと見ると、
隣の男性は、食事をしていない。
ようやく目が覚めてきた私は、
隣にいる男性がものすごく気になり始める。
体が大きくて、腕にでっかい刺青をしていて、
膝の上で開かれている雑誌のページは
ガーデニングの記事だった。
食事もほとんどせずに
リクライニングシートも倒さずに
まっすぐ座っている。
さっき眠る前、最後に見た時と
同じ姿勢のままだ。
開いている雑誌のページも
最後に見た時と同じだ。
しばらく観察してみると
やっぱり彼はほとんど動かない。
十分に眠り、
食事もとったところで
元気が出てきた私は
いつものように話しかけてしまう。
本当は
なんでその雑誌の同じページを
ずっと見てんの・・・と聞きたいけれど
それでは初めての会話としては
少々おかしいので、
おはようございます、どちらのご出身ですか
とかそういう当たり障りのない会話。

私が話しかけると
その彼はめちゃくちゃ話し出した。
アメリカからタイまで友だちと遊びにきたけれど
自分だけ一人で早めに帰ることになったこと
弁護士になったばかりだということ
両親はプエルトリコ出身で
自分は家族の中で初めて大学に行けて喜ばれていること
などなど・・・
そして彼は最後に
実はものすごく飛行機が怖くてたまらないのだと
教えてくれた。
「でも君は、さっきから眠って、食べて、飲んで
すごくリラックスしていて、
飛行機を楽しんでいて、ものすごく羨ましかったんだ」
そう言った彼は、
私が話しかけてきたことで
一気に気持ちが楽になったという。
というわけで私たちは最後の1時間を
おしゃべりして過ごした。
雑誌を開いていたのは
何かをしていないと怖かったからで、
読んでなんかいなかったそう。
じゃあガーデニングが好きなわけじゃないのね?
と私が聞くと
え、本当だ、ガーデニングの記事だ!
と初めて気づくほどだった。
彼からは
最後の1時間のおかげで
フライトが
本当に楽しかったと感謝してくれたけれど、
もっと早く起きればよかったね、ごめんね・・・
日本に到着すると、
すぐにでも飛行機から降りたいのかと思いきや
彼は、ようやくゆったりと座り直す。
「先に行ってて。
今、ようやく飛行機で安心して座れるから
少しこの気分を味わうよ」
私たちはそこでさよならをした。
日本についたら、今度はニューヨークまで
次のフライトが待っている。
次の恐怖に備えるための、安堵の時間・・・かな。
あんな大きな刺青をして
移民家族としてニューヨークで生きてきて、
きっとめちゃくちゃ頑張って
弁護士になったのに、
飛行機が、怖いんだね。
飛行機が嫌いなのに、
ニューヨークから、日本経由でタイにまで
よく行ったね。

怖い。
それは何か行動をしない理由にはならない。
それどころか、怖いからこそ、
行動をしたほうがいい。
たとえば、
ベッドルームのクローゼットの中に
モンスターがいるよと言われたら、
私たちはそのモンスターがどんなものなのか
想像して余計に怖くなってしまう。
近寄ることだってしたくない。
クローゼットの中のモンスターは
私の恐怖の妄想が
どんどん膨らんで、ますます怖い存在になる。
だからこそ
クローゼットを開けてみたほうがいい。
クローゼットを開けたら、
案外小さくて可愛いモンスターがいるかもしれない。
怖いものだったとしても
正体がわかれば、
対処の仕方がわかる。
不安の対処法は
正体を知ること
そして行動すること。
得体の知れないモンスターが怖いのは
得体が知れないからだ。
だからその正体を知るしかないのだ。
恐怖はなくならないかもしれないけれど
きっと彼は
次に飛行機に乗る時には
心の準備ができているだろうし
前よりも怖くないかもしれない。
怖くても、
私みたいに、ベイリースとアマレットを交互に頼んで
うっすら酔い心地で眠ることだって
できるのだから。
今日もお読みくださりありがとうございました!
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怖い時は、怖さを癒して安心感と繋がりましょう![]()
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