リーガルハイ2 その⑩ 最終回 安藤貴和に関する考察

 

 前回最後の醍醐検事のヒントのお陰で、古美門達の本当の敵が、味方だと思っていたNEXUS羽生晴樹だと気づきました。

 

 安藤貴和の被告人質問の直前に吉永慶子の偽名で面会し、安藤貴和に罪を認めるよう誘導・指示していたのです。

 

 

 どうして貴和が羽生の指示に従うのか……真犯人を庇っているとしたら、貴和の過去を洗い直すしか無い…と古美門と黛は、貴和が過去に付き合った男性を探し出し、その男性・金崎親分(浜田晃)との間にできた赤ちゃんを、貴和が出産した事を突き止めます。

 

 

 最終回では、貴和が守ろうとしたのは、実の娘である徳永さつき(内田愛)と仮定して安藤貴和を尋問し、DNA判定結果を出そうとする際に貴和が取り乱した事で、貴和が犯人を庇っており、犯人では無い事を間接的に証明して見せます。

 

 ところが、誰も幸せにしない真実を突き止めてしまった為に、さつきはスキャンダルで学校にも行けなくなり、彼女を守る為に、黛と古美門は、無理矢理新しい真実を作り上げてしまいます。

 

(これは、弁護方針や検察庁の方針がブレ過ぎなのを考えると、ドラマゆえの無理がある展開だと、思ってしまいます……)

 

 

 

 しかも、最後にDNA鑑定をしていない事が明らかになった事で、黛自身も何が真実かわからなくなってしまいました。

(わざと視聴者を試すため、混乱させている気もします)

 

 

 

 そこで私なりに、安藤貴和について整理・考察してみたいと思います。

 

 

 吉永慶子(羽生晴樹)が最初会いに来た時、

 貴和は、(私は)やってないのよ、と犯行を強く否定しているにも関わらず、羽生の指示通りに裁判で罪を認めたという事は、貴和は自分が死刑になるリスクを冒しても真犯人を庇う意思があり、徳永親子を殺そうとしたとは考えられません。

 

 

 また利害関係のない金崎親分が嘘をついたとは考えられない為、貴和が金崎親分との女児を出産した事は確実だと思われる事から、DNA鑑定無しでも、貴和がさつきを自分の生んだ子だと信じていた可能性が高いです。

 

 

 何より、貴和と親子関係が無いと知った時のさつきの安心した顔を、貴和はわざわざ墓地にまで足を運び、遠くから眺めていました…(貴和の表情がとても切なかった…)。

 

 

 安藤貴和は、幼少期に実母の情夫から色目を使われたとして母親から悪魔と責められ、さつきからも「出てけよ悪魔」と拒絶されています。

 

 男をたぶらかす悪女とは言え、1番愛されたい肉親から憎まれた可哀想な女性だと感じました…。

 

 三木長一郎が、差し戻し裁判で安藤貴和の貧しく孤独な過去を紹介してくれた事は、安藤貴和の人格の一端を垣間見ることのできるヒントだと思います。

(母親を自分から奪った男という生物を、深層心理で憎んでいるから悪女になった?)

 

 

 悪魔の女のイメージとは程遠い、深い母性を持つ、肝の座った女性でもあります。

 金崎親分が、奥さん以外に愛した女は貴和だけだ、と言い切ったのも頷けます。

 

 

 黛の代わりに真実を論理的に推理していくと、安藤貴和と徳永さつきは犯人ではない事が言えると思うのです。

 

 

 人生を変えたドラマ⑰ に続く