リーガルハイ2 その⑧ 世界財産と燃料廃棄物処理場 どちらが大切?

 

 

 今回は、黛の田舎である蟹頭村よりさらに奥地にある奥蟹頭村が世界財産に登録された事から生じた、自然を守る自給自足派と、便利で快適な暮らしをしたい燃料廃棄物処理場・推進派の争いが調停に発展した話です。

 

 

 村の殆どが赤松姓というド田舎で、世界財産の称号を維持したい自然保護のリーダー赤松鈴子(角替和枝)は、スナック「Roppongi Naito」のママ赤松麻里奈(遠野なぎこ)が反自然派のリーダーだという事で反目し合っており、NEXUSに依頼を頼んでいたが、実は麻里奈も古美門に代理人の依頼をしていた事が判明します。

 

 

 反自然派は、高速道路や燃料廃棄物処理場の建設計画が持ち上がった際に、その方が便利で楽しい生活ができると言って、自給自足の生活や地味な景観を維持する事に反発していました。

 

 お互い歩み寄る気配はなく、新たに赴任してきた別府裁判長(広末涼子)が「おざおざの森」や村民の生活を見学する中で、住民投票を提案したため、住民同士の洗脳・懐柔計画が勃発します。

 

 

 結局のところ、若者は快適で贅沢な都会風の生活に憧れ反自然派が優位になり、しがらみのある中高年は自然保護派の票が増えていくのですが、NEXUSの羽生くんは、若者たちを連れてこさせ、一人ひとり自然推進派になるよう啓蒙活動を進めていきます。

 

 

 「これ以上道を踏み外す人が増えない様、見回りを強化し、監視し合いましょう」

 

 「ラクダは鞭を入れなければ動かない」

 羽生くんがこうように言った時、黛は嫌な予感がするのですが、まだ彼の危ない側面に気が付きません。

 

 

 

 

 実は、ここの所がリーガルハイ2とリーガル・ハイの大きな違いだと、私は思いました。

 

 

 羽生君は人類愛に燃えていて、民衆は近視眼的で愚かになりがちだから、啓蒙し巨大な力で導かなければならないと考えています。(まるで、宗教の教祖みたい)

 ドラマの最初の頃、爽やかな笑顔だった羽生くんが、時々凄く悪魔的な表情をするようになるのです。

 

 

 人間は崇高な理念より、欲望の方が勝つ生きもの。

 燃料廃棄物処理場だって100年後は世界財産になるかもしれない、と断言する古美門。

 

 

 結局古美門の作戦で、反自然派が票を伸ばし、鈴子の息子が反自然派だということもあって、世界財産を破棄し開発推進が進められ、村民が便利で贅沢な生活を享受できる事になります。

 

 

 

 当初羽生派だった私も、彼の悪魔的なほほ笑みを観て、薄ら寒い感覚があり、絶対的正義・絶対的民意に対する違和感がでてきたような回でした。

 

 

 人生を変えたドラマ⑮ に続く