N弁護士から電話があり、裁判は出来そうもないと言われた

 

  次の調停まであと10日という4月某日、N弁護士から突然電話がかかってきました。

 余程急ぎの案件でなければ電話をかけてこないので、嫌な予感がしました。

 電話を取ると、N弁護士が暗い声でこう言いました。

 

 

〇〇さん、実は裁判所から連絡がありました。 離婚裁判への移行は見送るよう要請がありました。このまま審議を続けても、言った言わないで水掛け論になり、無駄だと思われたようです。」

 

 N弁護士の声の調子から要請が命令に近いものである事が伺えました。

 

 

「私の主張が言いがかりの時間稼ぎだと思われている、という事ですか?」

 味方のはずのN弁護士の手のひら返しに、私はショックを隠し切れずにいました。

 

 ただ同時に前回の最後、調停委員が裁判をする事に批判的だった事も思い出していました。

 何か大きな力が働いているのかもしれない…と反射的に思いました。

 

 

 

 「言いがかり、とは思っていないでしょうが、繰り上げ返済を証明できない以上時間稼ぎにしかならない、と考えているようです。 殆ど同じ内容の裁判をするのは時間の無駄だと」

 

 

 確かにそうなのだろう、とは思いました。新しい法的証拠でも出てこない限り、調停で話した事を裁判で繰り返すだけだろうと……

 

 

 しばしの沈黙の後、N弁護士はこう言いました。

 

〇〇さん、ご主人に手紙を書きませんか? 思いのたけをぶつける機会を作った方が良いと思うんです。 

 転勤族と結婚した事でキャリアを築けなかったこと。 〇〇さんが働く意思も能力もあるのに専業主婦に甘んじていたのは、家庭を第一に考えたからだという事、それらを裁判官に訴えましょう。」

 

 「訴えたら、何か有利になりますか?」

と私は半信半疑で答えました。

 

 「慰謝料の要求を最大限に設定しましょう。 裁判まで行ってしまったら、判決離婚で通常は慰謝料は100万になります。 それを300万に設定します。」

 

 

 その時、私は初めて裁判離婚の慰謝料が、通常100万円にしかならない事を知りました。それを200万増額できるのならこれに掛けない手はない、と確信しました。

 

 

 「分かりました。精一杯頑張って書いてみます。4、5日時間を下さい」

 

 

 と言って電話を切り、最後の闘いの主張を手紙に込めて書くことにしたのでした。

 

 

サレ妻復活日記41 に続く