「セリフになっている文字などは、
ストーリー(物語)を転がすだけの情報である」
ということを、
私は演技レッスンにて度々口にします。
なぜ、こんな大胆なことを言うかというと、
シナリオに書かれたセリフ文字にばかり気を取られている方が、
あまりに多いからなのです。
これは、
観客というのは、果たして、
「ドラマの何を楽しんでいるのか・・・」
という問題です。
確かにお客さんは、じっくりとセリフを聴いています。
しかし、
実は、
語られる文字情報をフムフムと楽しんでいるわけではないのです。
耳へ入ってくるセリフが発端となって、
その後、豊かに広がる情緒を楽しんでいるのです。
例えば、
私のシナリオにこんな場面が出てきます。
【主人公の伊之助が、旧知の仲である御用聞きの親分辰吉へ事件解明の手伝いをお願いする】
というシーンです。
このシーンを文字面だけ読むと、
その内容は、
「伊之助が事件についての不可解さを語り、
それを聴き終えた辰吉が、解決の手助けを申し出る」
というものです。
このシーンの存在意味は、
きっと、
「伊之助に、頼りになる助っ人ができた!」
というものでしょうね。
では、
このシーンを聴いたお客さんの反応はどんなものでしょう〜![]()
助っ人が発生したことに、
「やったぜ!」
と喜んだり、
事件解決に向けて希望が見えたとに、
「いいぞ、いいぞ!」
とドラマを楽しんでいるでしょうか・・・。
いえいえ、
それらは、全体の1割ほどの楽しみでしかないのです〜![]()
本当の狙いとは、
事件の中身とはちょっと離れた所に存在しているものなのです!
それは、
二人の友情だったりするんですねぇ〜![]()
確かに、事件の中身も興味深い!
困り果てている主人公に頼れる仲間が登場するのは楽しい!
しかし、
もっともっと大切なのは、
知己への助力を惜しまない、辰吉親分の気っ風のよさ、情の深さなんですよね。
このシーンは、
江戸っ子気質に隠れている人情を表現している場面なのです!
観客は、
そんな二人の信頼関係にグッと感動してドラマを楽しむんですよねぇ〜。
脚本家は、
誰もが憧れる【男の友情】にホッコリしてもらうことを狙っています。
そして、次のシーンへと聴き手の興味を持続させたいわけです。
ここが、このシーンの核となるわけですねぇ。
これは、
単純明快な1シーンですが、
全てのシーンに、こういった観客の本当の楽しみが隠れているんですよね。
こういった大事なことは、文字には書かれていないことなのです。
書かれていないからこそ、
そこに詩情が漂うのです![]()
これをドラマティックと言うんだと、私は思っています。
(この中身をくどくどと書いてしまったら、野暮ですよねぇ〜)
そして、
声優さんが、ここをどう表現するかが、
その方の技術であり、感性であり、価値なのです!!
観客に対して、
ただ文字に書かれた情報を雰囲気に乗せて伝えるのが、声優の仕事であってはならないのです。
こんなものは、
お客さんにとっては、
全く価値を持たない表現ですからねぇ。
全シーンに隠された核となる大事なものを掴み、
それを詩情を持って表現することこそ、
声優の仕事なのです![]()
そもそも、
シナリオを読み込むということは、
この辺りについて十分に読み解くことを指しています。
シーンの仕組み(根底にある心情表現)の解明ですね。
これを解明できなくては、
お客さんの心を自在に揺さぶることは不可能かと思います。
お客さんが楽しんでいるのは、
キャラクターの心模様なんですよね![]()
心情の移り変わりですね。
これが、
ごく自然に演技に盛り込まれているから、
作り物のストーリーが、さも現実味をもって聴き手に迫ってくるのです。
文字だけに囚われず、
それを捨て去ってしまう判断こそが、
プロらしい表現だと思いますねぇ〜。
私は、そういう方と仕事をご一緒したいと思ってしまいますね![]()
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