プロ声優が大事にする会話演技の技術とは! | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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新人声優さんと、

 

ベテラン声優さんや制作スタッフとの間では、

 

演技表現についての考えに、大きな違いがあるのをご存知でしょうかニコニコ

 

それは、

 

会話ゼリフのつなぎについての意識の違いなんです。

 

 

 

 

会話で観客を楽しませるシーンとは、

 

当たり前のことですが、

 

数名のキャラクターによってセリフのやりとりがある状況を指しますよね。

 

そこでは、

 

人物同士の情報交換がなあったり、

 

心の交流が行われたり、

 

今後の進展を予感させる言葉も出てきますよね。

 

この会話ゼリフに盛り込まれた情報量の多さは困ったもので、

 

どうしてもお客さんの頭を、「理解しようとする」モードへと誘ってしまいます。

 

こうなると、視聴者は、

 

集中力をセリフ内容の理解に向けてしまって、次第に、ドラマを楽しむための気力にも衰えが生まれてしまうんですよね・・・アセアセ

 

(ボイスドラマなどで、聴いていてしんどくなる作品ってありますよねぇチュー

 

 

 

 

そこで、プロ声優は皆、

 

ここの危機を乗り越えるべきだと考えますので、

 

あらかじめ会話セリフの読み方にも、プロらしい工夫が加えられることになるのです!

 

これは、

 

お客さんの集中力や興味を持続させるだけでなく、

 

物語を盛り上げる効果も生み出し、

 

キャラクター表現(役作り)にも効果を生み出していて、

 

作品の質をグンと上げることに繋がっているんですよね照れ

 

これぞ、プロフェッショナルの技術かもしれませんね。

 

 

 

 

 

では、具体的に書いてみましょうグッ

 

ある会話があるとします。

 

例えば、

 

「剣術師範とその弟子」の会話としましょう。

 

こんな話はいかがでしょうニコニコ

ーーーーーーーーーーーーーー

 

師範「のう、郁太郎。此度の御前試合、首尾ようやってくれたなぁ」

 

郁太郎「はあ」

 

師範「まだ15のお前のその腕前に、殿も殊の外驚かれておったぞ。 ふふふ・・・しかし、よくぞそこまでなぁ」

 

郁太郎「・・・・」

 

師範「どうした? これで町人出のお前が目録を許されても、文句のあるやつはおるまい」

 

郁太郎「・・・はあ」

 

師範「これ、しゃんとせい! なんぞあるのか」

 

郁太郎「あの日以来、目引き袖引き私のことを噂する者があるのです。兄弟子達も同様に私を避けて・・・」

 

師範「ふふふ。武士の虚栄か。くだらぬのう」

 

郁太郎「私は・・・剣術が楽しい。ただ、楽しいから夢中になって」

 

師範「ふふふ、無邪気なものよ。皆、それが恐ろしいのよ」

 

郁太郎「えっ?」

 

師範「無邪気ゆえの、荒々しい天賦の才がの」

ーーーーーーーーーーーーーー

 

いい加減に書いたものですから、

 

中身の稚拙さはご容赦ください〜。

 

 

 

 

たとえば、

 

真ん中あたりにある、

 

弟子郁太郎の、

 

「あの日以来、目引き袖引き私のことを噂する者があるのです。兄弟子達も同様に私を避けて・・・」

 

という一つのセリフに注目してみましょうかウインク

 

この一文、

 

プロの声優なら、何に気をつけて読まれると思いますでしょうか?

 

制作現場によっては、

 

師範役と郁太郎役は別々の抜き録音になることだってあります。

 

きっちりと演技プランを用意しておく必要がありますよね。

 

「相手の演技を一切聞かずに、どのように演じることが最適か・・・」

 

ここの技術を熟知している者が、そんな乱暴な演技録音にも対応できるプロ声優ということになるのです!

 

 

 

 

この一文を演技する時に、

 

会話のつなぎを意識するとは、

 

冒頭の語り出しと、

 

末尾の語り終わりを、

 

とても大切に準備することをいうと思います。

 

もちろん、文章の真ん中あたりの感情表現も大事なのですが、

 

観客にとっては、

 

それよりも冒頭の、

 

「あの日以来、」

 

の言い方に込められたものがとても心に響くのです!

 

ここには、この青年がこれまで剣に打ち込んできた時間の流れを表現できるタイミンングになりますからね。

 

(とっても大切な表現ですよねOK

 

だから、

 

この冒頭表現は、とても繊細な解釈が求められるのです。

 

大きく息を吸ってから語り出すのか・・・

 

かすれ声で始まるのか・・・

 

思いつめたような言い方か・・・

 

力強い言い出しか・・・

 

ぶっきらぼうな言い方か・・・

 

冷笑を含んだ言い方か・・・

 

といったどの表現アイデアの中から、この物語や人物に見合った表現を抜き出すことになります。

 

(それぞれの言い回しには、それぞれ違った表現の可能性が見えてきますね。)

 

この語り始めの演技表現で、

 

観客は郁太郎を理解しようとする姿勢が整うのです。

 

これは、会話ドラマを楽しむための心の準備みたいなのですねウインク

 

このつなぎの力は絶大ものになるのです。

 

 

 

 

次に大事なのは、

 

末尾の表現です!

 

「私を避けて・・・」

 

という言い方には、

 

この時、このタイミングでの、郁太郎の心の有り様が出ます。

 

これは、郁太郎の表情にもつながる表現です。

 

(映像的な表現にもなってきますから大切です!)

 

心と表情の表現を、セリフの末尾で明確にすることが、お客さんの親近感を得ることにつながりますグッ

 

 

 

 

負けてなるものかという心情か・・・・

 

師範への甘えが出るのか・・・・

 

彼の弱さが出るのか・・・・

 

武士への劣等感が出るのか・・・

 

または、町人の意地が勝るか・・・

 

この表現の選択が、

 

次の師範のセリフにある

 

「くだらぬ」

 

という言葉に生きてくるのです!

 

(ここへ集約されると言っても過言ではないのですねぇ。)

 

それまでの一連の会話表現は、

 

むしろ、

 

この「くだらぬ」の前座の様な位置付けだと思ってもいいですねOK

 

(この師範のセリフのための舞台づくりだったというわけです。)

 

この一言をドラマティックに仕上げるためには、

 

それだけ、

 

このつなぎを意識することは大事なことになってくるのです!!

 

 

 

 

通常、

 

師範役を配役される声優さんは、

 

大ベテランということになります。

 

その方のキメゼリフを死なせるわけにはいきませんから、

 

ちゃんと準備しておきたいですよね〜ウインク

 

(近頃のテレビ放送では、ここをしくじっている表現が氾濫していますよね・・・ガーン

 

 

 

 

大御所声優さんの会話芝居が素晴らしいのは、

 

この役者同士のやりとり(準備)が、

 

暗黙のうちに行われていて、

 

その出来栄えには美しさまでが感じれるからなんです。

 

「セリフの語り出しと、最後の言葉のおさめ方」

 

私はこの様に言っていますが、

 

ここの処理のスキルがとんでもないレベルにあるから、

 

いつも素晴らしい会話シーンが生まれるんですよね照れ

 

これも数あるシナリオ読解技術の一端になるものです。

 

 

 

 

ここまでの準備をこなすからこそ、

 

熱いドラマティックなシーンでありながら、それでいて自然さが失われていないのです。

 

視聴者は、セリフの内容を理解しようと頭をひねる必要もなく、ごく自然に聴かされる状況に居ることができるのです。

 

ドラマを楽しむ姿勢に、違和感や無理がないのですね。

 

これは、

 

リアリティーにもつながる重要な技術にもなるんですよね〜ニコニコ

 

 

 

 

 

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