江戸庶民の言葉 | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

オーディオキネマ 公式ブログ

シナリオを書いていると、

江戸の人々の言葉遣いには、

本当に骨が折れます・・・



何しろ、

江戸の言葉を知っている人なんて、

何処にもいないんですからね・・・

本当はどんなものだったのか、

わからないものを相手にしているのだから、

何とも心もとない話です




「小説や映画を研究すればいいじゃないかっ

と思われる方もいるでしょうが、

実のところ、

まともな江戸(幕末)言葉を使った小説なんて、

芥川龍之介あたりまで遡らなければ、

出会うことはないのです。




つまりは、

黒澤明監督の映画も、

司馬さんや池波さんの小説も、

全てはデタラメな江戸言葉ということです

もちろん、

これら巨匠は、

それを分かった上で、

現代人と娯楽作品の関係を考慮して、

独自の江戸言葉の世界を構築されているのですが。

(それでも、落語や歌舞伎などの知識を元に創造されているでしょう。)




では、

私が作る時代劇には、

どういった言葉を使用すべきか・・・・

これは、ちょっと、悩んでしまいますね・・・

『研ぎ師伊之助深川噺』第一話では、

それについて熟考した末、

馴染みのある小説や古い名画からエッセンスを頂くことにしたのです




かなり研究したつもりですが・・・

それでも、

今では、

もっと江戸の雰囲気に加工出来たのではないか・・・、

と物足りなさを感じる部分もあるのです




次回作では、

もっと江戸の空気を、

セリフの中に込めることは出来ないかと企んでおります

特にチカラを入れたいのが、

庶民の言葉ですね

町人の話し言葉を、

もっと風情のある、粋なものにすることで、

作品全体に、

清々しい江戸の風が通り抜ける気がしています

一作目には、

この辺りが少~し物足りなかった気もしますね




例えば、

こんな町人のセリフはいかがでしょう。
---------------------------
「人生なんて不幸も幸運も、手前ぇじゃ何もわからねえもんだ

の後に続けて、

「命は天に在り、ぼた餅は棚に在りってな
---------------------------

何だか、威勢が良くていいですね。

少々長いですが、リズムは悪くありません




他には、

こんなセリフはどうでしょう。
-----------------------
「いいかい、お前ぇ。

銭ってやつは、貸すもんじゃねえよ

その後に、こんな言葉が続きます。

「どぶへうっちゃると思って、くれてやるのさ。

それが江戸っ子ってもんよ
-----------------------

何ともいい歯切れですね。

スパッとこう言ってくれると、気持ちがスーーーとしますね。




もう一つ行きましょうか。

先輩の商売人が、

商売に失敗した若旦那にアドバイス。
----------------------------
「若さんよ。

そう落ち込むなってことよ。一から出直すんだ

「ええ。しかし・・・

親の意見と冷酒は後にきく・・・・とは、

よく言ったものですねぇ。ははは・・・」

「まあな。

まずはしっかり、おとっつぁんに詫びを入れることだ。

次のことはそれからよ」
----------------------------

とても、温かい相談相手ですね。

さっぱりとしているが、しっかりと受けとめてくれる気がしますね。




色々と、

思いつきで書いてみましたが、

江戸の粋と人情を感じるセリフがもっともっと必要ですね。

こちらの方面の研究を続けて、

このシリーズ作品も、

何処にも負けない江戸時代劇に成長させたいですね




それには、

何よりも勉強が大事ということですね・・・

千里の行も足下より始まる、

ということですな




【3ヶ月WS】
↓こちらをクリック。
『シナリオの読み込みをプロレベルにする』(全12回)


【ライターのtwitter】

@audiokinema
大事なことから、そうでないものまで、つぶやきます。