『研ぎ師伊之助深川噺ができるまで 153』 | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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~ライターのつぶやき~
「これが、大義名分だ!」



私のお世話になっています、

ある事務所の代表は、

いつも、

「何事も大義名分が大事だぞ!」

と私の緩んだ心を戒めてくれます




私も、この、

オーディオドラマ『研ぎ師伊之助深川噺』

の制作を開始してから現在まで、

何度もこのものづくりに対する大義名分を、

考えてきました。




いつも思うのは、

何かしらの〈芸〉で、

生きて行こうと決心した者には、

この大義名分というものは、

とても大切な心の支えになるということです




もう少し、私の実体験を元に、

お話をしてみましょう

私も、

声優を目指している新人役者の方々と同じように、

自分のオリジナル時代劇を夢見ながら、

なかなかそのシナリオ執筆に着手出来ないで、

モヤモヤしていた時期が長くあったんです

毎日のように、

やり始めない自分に怒りと失望を感じていました

不思議なもので、

何となく、書く気になれなかったんですね~

(本当に、実に簡単な理由ですね。)



そんな中、

気持ちを紛らわすように、

よく、古い時代劇映画を鑑賞していました。

それと平行して、

わりと最近になって制作された時代劇映画、

そして、テレビで放送される新作時代劇もチェックしていました。




そして、

フッと気づいたんです

「昔の映画ように時代劇ゼリフを話せる役者が、

今は、ほとんど居なくなっている


ということでした。

そこで今放送されている現代物のTVドラマも思い出してみると、

若手から中堅までの有名俳優たちも、

そのほとんどが、日本語の美しい節回しでセリフを話すことは、

していなかったんです。





丁度この頃私は、

松竹新喜劇に出演されていた藤山寛美さんのDVDを鑑賞しては、

「ああ、こんな美しい大阪弁は、

もはやどこにも存在しなんだろうなぁ~

とひとり感傷に浸っていたので、

美しい日本語が死滅するかも知れないという危機感に、

勝手に襲われたんですね。

(一人ぼっちで、慌てただけですけどね




その時、自分に稲妻が落ちたんです

「私は、

なぜ、昔の古い映画ばかりを観ているのか


それは、

私が日々追い求めていたのは、

「日本語の美しい節回し(七五調)のセリフなんだ

と確信したんです




では、

自分に何が出来るのか

と考えた時に、

すぐに、

「オリジナル時代劇を作り、世の中に素晴らしいセリフを残さなければならない」

と思いました。

(とても生意気な浅知恵ですね




次に考えたのは、

「では、演技じていただく俳優はどうする

ということです。

その時、私の頭に一番先に浮かんだのが、

「美しいセリフ・・・・日本語の節回し・・・・」

それは、

「スタジオジブリのアニメーションだ

となったんです

これは、

私自身も本当に不思議なんですが、

古い実写映画ばかり観ていた私が、

現代で本格的な時代劇ドラマを再現しようと考えた時に、

日本語を完璧に流暢に操り、

その美しい節回しに、

キャラクターの感情をさり気なく乗せることが出来る、

アニメの世界で声優として活動されている俳優の方々の声が浮かんだんですね




だから、

舞台の戯曲を書くのでもなく、

シナリオをドラマ制作会社に売り込むでもなく、

オーディオドラマの制作にこだわったというわけです




この、

「私は、美しい日本語のセリフを残したい

という勝手な大義名分でも、

立派に私を支えて、

モチベーションを今の今まで繋いでくれています。

私は、この経験を皆さんにもオススメしたいですね。

何かしら、〈やる意味〉を具体的に見出してみてはいかがでしょうか




私は、

出会う新人声優さんには、

「なぜ、声優になりたいのか?」

と聴くことがあります。

そして、

「なぜ、舞台役者でもなく、ドラマ俳優でもなく、

あえて声優なんですか?」

と重ねて尋ねます。




声優という仕事は、

俳優にとっては、

本当に雁字搦めのお仕事です。

絵に声を合わせるならば、

演技の初めと終わりはタイムが決まっているんです。

(絵の口パクに演技を合わせるため。)

これは、役者にとっては、

とても不自由な演技を強いられることです。

そして、

声優は、他の俳優と違って、全身で表現が出来ないんです。

なんと歯がゆい不完全燃焼でしょう。




役者として、

あえて声優という職業に特化した表現者になるのであれば、

そこに何かしらのこだわりが無くては、

大義名分がなければ、

あの大御所声優、ベテラン声優たちと、

共演が出来るまで成長を続けることは出来ないんじゃないかと、

思ってしまいます。

あのトップを走る方々は、

本当に本当に本当に魅力的な演技をされますからね




大義名分が大事。

それは、

「なぜ声優になるのか」

という身分証明書のようなものです

ここがハッキリしていないと、

トレーニングにもモチベーションが上がらないものです。

いつでも自分を鼓舞できるよう、

一度考えてみてはいかがでしょうか




私のワークショップ参加者にも、

また聴いてみようかしら

でも、

絶句されたら困るなぁ~。



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