私の信じるワークショップとは? | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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私のワークショップは、

メキメキと演技が上手くなるトレーニングを目指しています



そのための一番近道として、

シナリオの読み込みを徹底的に行います



「いや。それよりも、

マイク前で実践的に演技した方がいいのでは


と感じるかもしれませんが、

これ、私はあまり納得はできません

そのようなトレーニングが効果的なのは、

参加している声優が皆、

合格点の〈シナリオの読み込み〉が出来ている場合のみだと思っています




十分な読み込みが出来ていないと、

どうしても中身が無い、音だけの演技になってしまいます。

「悲しいセリフだから、つらそうな声質で演じよう」という発想です。

このような演技は、

たしかに雰囲気はなんとなくありますが、

生の人間としてリアリティは感じないんですね。

キャラクターの人柄が全く伝わってこないんです

(そこを先に考えて決めていないから当然の結果なのですが・・・




セリフにこもった心情や意味を理解して、

そのセリフによって観客の心に芽生える感情まで意識できて、

初めて役者がセリフを話す意味が生まれると信じています

私は、観客として、

そのような演技でなければ、

絶対に心を動かされることはありませんからね




鋭い〈シナリオの読み込み〉が、

魅力的な演技プランやアイデアを引き出します

そんな表現の始まりは、とても理屈っぽいアカデミックなものなのです。

「そんなもの、つまらないよ!」

とおっしゃるかも知れませんが、

私は、シナリオを読み込む作業とは、そういったものだと信じています

本当に演技やドラマに興味が無ければ、

このような時間は辛抱出来ないかもしれません




「演技は、感性だと言う方もいるでしょう。

しかし、

それは、役者の仕事でも中盤以降、

演技アイデアの選択や、

表現方法の構築、

観客の心に生じる感情イメージの具体化などの時でしょう。

この辺りは、確かに役者のセンスが問われるところです。




しかし、演技の基礎となるシナリオに関しては、

感性が重視されることはありません。

かなり理屈で考えられる分野だと思います。

そのことを、トレーニング中の声優さん、役者さんには理解して欲しいのです




それに、

セリフの大事な中身が読み取れない役者が、

どれだけ現場に近い環境で実践的な練習を重ねても、

プロの役者に必要な能力を覚醒させることは出来ないと考えるのが、

とても自然に思えて仕方ありません




だから、私は、

〈シナリオの読み込み〉の能力を鍛えることが、

飛躍的な上達の一番の近道だと訴えているんです

(もう、一年以上、これを叫び続けています




そこで、

このトレーニングについて重要な要点についても書いてみますが、

シナリオが読める役者を育てるには、

シナリオを執筆したライターが必要です。

なぜ、ライターが必要かと言うと、

あるシーンの読み込みの議論が進むと、

「ライターが何故このシーンを書いたのか

「何故このセリフを書いたのか

講師は、その動機を説明しなければならないからです

これは、講師が役者では、難しいと私は感じています。




こういった議論で大事なのは、

参加している役者がたちが、確信得られるかどうかです

演技表現とは曖昧なものですが、

シナリオの読み込みには、

絶対的な回答があるということを役者が知ることが、

とてもとても大事なのです

正解はしっかりと存在します

それは、シナリオを書いた本人だけが持っているんです




プロの現場には、

ライターなんていないことがほとんどで、

そのなかで制作は進められます。

分業化が生む効率のためでしょう。

でも、トレーニング中の新人は、(まだ)プロの役者ではありません。

学ぶ時間を大切に思うなら、現実と向き合う勇気も必要です。

「自分に必要なトレーニングは何か

「今の練習内容は、理想的なものか

よく考えて担当の講師と相談の時間を持って欲しいですね。




私のところへやってくる新人声優さんたちは、

ほとんど全員の方が、今までのレッスンに疑問を抱えていた方ばかりです

しかし、

その疑問を、

講師なり事務局なりマネージャーさんに訴えることはしなかったようです。

何故なんでしょうか・・・・。

それは、とても閉塞的な環境ですね。

それでは、モチベーションも上がらなかったでしょう




話は、シナリオの読み込みに戻りますが、

こういったトレーニングは、

役者側にも負担してもらうことがあります。

(実は、これがチョット大変なんです・・・




事前にシナリオを深く読み、

チェックを入れてきてもらわなければらなりません。

このトレーニングは、当日シナリオを配布して演技するような、

瞬発力を鍛えるトレーニングではないからです

ここの準備が出来なければ、この練習方法はあまり意味が無いんです




どこまで自分は読み込めたのか

なぜ、それより深く読み込めなかったのか

なぜ、大事な鍵となる言葉を見逃したのか

なぜ、人物の大事な感情を汲み取れなかったのか

なぜ、セリフの中に隠された、人物の本当の心情がわからなかったのか

ワークショップに来て、

初めて、こういった足りない読み込みに気がつくのです

これこそが、ここを自覚することが、

今後の役者の飛躍にとても大きな収穫なのです




そして、

ここからが極めて重要で、

ライターと議論を交わす中で、

自分が読み込んだ深さから、

もっと深く深く読み込んでいく方法を会得して欲しいのです。

それは、

今まで経験したことのない思考回路になります。

セリフ中心で書かれた物語であるシナリオの奥深さを知る体験です

まずは、プロとアマチュアの読み込みの違いを知ることです。

そして、

今後は、しっかりと深く繊細にシナリオを理解できるよう、

その読み進み方(思考回路)を自分の中に構築してほしいと思います

ここは、とてもとてもデリケートなので、

私のワークショップでは、ゆっくりと時間をかけて進んで行きます。

まるで、ジャングルの奥地へ進むような気分ですね。

慎重に慎重に、足元を確認しながら、といった感じです

この読み進めていく過程を、実感して、理解していく。

この感覚を、思考回路を開通させるのが、

プロとして、とても重要なんですね




ちょっと、

小難しい話でしたね

役者という仕事は、

勉強は嫌いでも、

努力は好きでないと出来ないかもしれませんね




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【ワークショップ告知です】
締め切り間近!

7月スタートの声優のためのワークショップを2本ご案内します。

(『研ぎ師伊之助深川噺』ライター・演出の私が講師を担当します。)


「声優のためのワークショップ(3ヶ月間)」の詳細はこちら

本番収録用のシナリオを使って、プロの役者に必要なレベルの〈シナリオの読み込み〉を徹底的にレクチャーしていきます。現場にいる声優がもっている技術、能力を理解して頂きます。

「セリフで構成されたシナリオから役者は何を読み取ればよいのか・・・。」

ここを知ることが、役作り、演技表現、共演者との調和、ドラマ構成の重要な基礎になります!

 

★ 「一ヶ月でシナリオの読み方を知る!」の詳細はこちら

全4回の講義で、役者に行って欲しいシナリオの読み込み方を具体的にレクチャーします。 講義は4つのカテゴリーに区切り、わかりやすく説明してきます。とにかく即戦力になる講義です。トレーニング後には、グッとシナリオの読み込みがスムーズになると思います。