2022 12/5
昨日はバイトしてから自分のわさび田に行って、
山に入る頃にはすでに薄暗くなってきていた。
俺のわさび田の場所って村の人たちも怖いって言うくらい、山の深いとこにあるんだよ。
たまに見られてる感じとか気配的なものを感じるけど、
人って感じではなくて、もっと大きな…
岩とか川とか山自体。
自然全体に見られている様な感じがする。
暗くなると、そんな雰囲気がどんどん強くなって、
昼間は穏やかな山の中が全然違う場所みたいに、不気味なオーラに包まれる。
すぐにここから離れなきゃと思うくらい、
自分が小さく弱い存在に感じられるんだよ。
作業を始めてすぐに、辺りは本格的に暗くなり、
帰りはもう真っ暗くて周りの景色も見えづらい感じだった。
モノラック(貨物用モノレール)に乗り込んで山を下る。
下り始めて少ししたところに大きな岩があって、
その影に今は使われていない山小屋が見えてくるんだよ。
そんな景色を眺めていると、
エンジンのガーーッて音に混ざって鐘?鈴?みたいな音が聞こえてきたんだよ。
でも、どっから鳴ってるのか全然かわからなくて、チリーンチリーンって音が聞こえるたびに、空気が重いって言うか寒いみたいになってくる。
でも、どっから鳴ってるのか全然かわからなくて、チリーンチリーンって音が聞こえるたびに、空気が重いって言うか寒いみたいになってくる。
こんな雰囲気を感じるのは初めてじゃなくて、いよいよ出るなと思っていたら、老夫婦が岩の前に立ってるのが見えたんだ。
後で考えると、暗くて見えづらいはずなのに、見え過ぎるくらい良く見えて、老夫婦が発光してるみたいに顔まではっきり見える様な変な感じだったんだよ。
あっ!
これはもうオバケだなと思って、なるべくそちらを見ないようにして、落ち着け!モノラックは機械だし惑わされる事なく必ず下まで連れてってくれる。ガタガタとレールを進む振動を信じて前だけを見ていたよ。
怖くて不安で、モノラックに乗ってる時間が、永遠と思えるほど長かった。
後で考えると、暗くて見えづらいはずなのに、見え過ぎるくらい良く見えて、老夫婦が発光してるみたいに顔まではっきり見える様な変な感じだったんだよ。
あっ!
これはもうオバケだなと思って、なるべくそちらを見ないようにして、落ち着け!モノラックは機械だし惑わされる事なく必ず下まで連れてってくれる。ガタガタとレールを進む振動を信じて前だけを見ていたよ。
怖くて不安で、モノラックに乗ってる時間が、永遠と思えるほど長かった。
モノラックの停車場に着いた俺はすぐに自分の軽トラに乗り込んで麓までダッシュで下ったよ。
これってオバケだよね?
こんな話しを人にしちゃうのが俺なんだなけど、
村の人たちはバカにすることなく俺の話しを聞いてくれたよ。
そして後日、
ここの地主さんにこの話しをする機会があったんだけど、俺のわさび田の隣には放棄されたわさび田が有って、そこの持ち主は老夫婦。
少し前に心中されたとのこと。
わさび田が気になって出てきたのかな?
それから何度もそこを通るけど、老夫婦のオバケにそれ以降会った事はない。
山に入った瞬間から首が痛くて、
攣(つ)りそうって感じでさ、もしかしたら誰か首吊ってたのかも。
…って思ってたら後日知った事だけど、俺がオバケを見た場所の地主は老夫婦で心中したんだってさ。
おしまい