俺は赦しが欲しかった。
25歳の時に金銭的な事情で養うことができなくなった大切なモルモットを捨てた罪を。そして都合の良い赦しを得る為ある街へ訪れ"この世の神"の定めたルールによってあの時犯した罪を忘れることに必死だった俺の心を書き換えてくれる人を探していた。
なんとも調子のいい男である。
自分の都合で捨てといて、そのネグリスト根性をセラピストに直してもらおうとしているのだから、困った男だ。
世の中は誰も助けてはくれないのに、自分の心が辛いからそれを治してくれとは虫唾が走る。
弱きものを傷つけた代償は己の潜在意識に深く刻み込まれるもので、それが後の人生に大きく伸し掛かる者と、掛からぬ者がいる。後者は鈍感か悪党であろう。
俺は45後半で過去の罪悪や嫌悪した出来事が思い出だされ、辛い時もある。
続く。