僕は彼女達を愛していたのかどうかもわからない。
漠然と今思えば愛していたのだと思う。
そしてお付き合いしてきた女性達の性技は全てにおいて素晴らしく、天国に近い感覚を味わせてくれた事に感謝しつつも、あの蛇のように絡みつく妖気な身体の前に僕はただただひたすら己の感度に身を任せていた。
女の復讐の一つに「忘れられなくさせる」ことが挙げられる。
そうすることによって、男を破滅に導き楽しむのだ。
男というのは悲劇そのものであり、女の前ではただの恋愛の素人でしかない。
ひょっとしたら彼女達は幽霊だったのか?
それとも悪魔だったのか?
夢想列車の中で僕はチラッと窓から外の景色を見た。
真夜中の雨に打たれた薔薇の花が上下緩やかに揺れる姿に心奪われ彼女達の思い出を消す。