工場から戻り、街に買い物に出てさて帰りましょうかと、ショッピングセンターを出た所で
二人組みの黒人に声を掛けられました。
早口の聞き取りにくい英語で捲し立てます。(以下、意訳ですがこんな感じで会話は進みます。)
私「???…何だって?」
彼「俺達は初めてタイに来たんだ、ここにも初めて来た。食事をしたいんだけどKFCやマクドナルドがこの建物に在るかい?」
私「んーと、マクドナルドだったら多分二階に在ったと思うけど。」
彼「そうか、二階だな。」
私が立ち去ろうとすると、まだ話しかけてきます。
彼「あんたは何処から来たんだ?俺達ははじめてタイに来たんだけど、あんたはどれくらいタイに住んでるんだい?仕事かい?」
私「日本だよ、毎月来てるんだ。」
彼「仕事かい?何の仕事をしてるんだ?」
私「日本へ輸入してるんだ。」
彼「俺達はソマリアから来たんだ、知ってるかいソマリア?初めてタイに来て知り合ったんだから名前を教えてよ、電話番号も。」
私「bashだよ。」
彼「名刺は持ってるかい?俺の名はデイヴィス。」
私「名刺は今持ってないよ。」
彼「じゃあ俺の連絡先教えるよ、書く物は無いかい?」と言ってボールペンを出します。
私「持ってないよ。」(タバコの箱を取り出して)「これに書いて。」
彼は、名前と携帯の番号とメールアドレスを書き出しました。するともう一人が何処からかメモを貰って来ました。
彼「これにあんたのも書いてよ。」
一瞬、考えましたが、書き始めました。
彼「俺達はソマリアから来て、ダイアモンドと金を持って来たんだ。ソマリアは戦争をしているから、タイへ来たんだ。仕事相手を探してる。あんたは何時日本に帰るんだい?」
私「今週末だよ。」
彼「明日は仕事かい?帰る前にフリータイムは無いのかい?一回話をしようよ。」
私「仕事だよ、時間は無いねぇ。」
彼「少しでいいから話そうよ。」
私「分かった、じゃあ時間が出来たら電話するよ。」
彼「おう!わかった。俺もメールするから。」
やっと、開放されました。
彼に渡したメモには名前は下の名前だけ書いて、携帯番号は日本の番号で嘘の番号。メールアドレスはヤフーのアドレスを書いときました。
どうして嘘の番号を書いたかは、彼の話が全く信用出来なかったからです。
タイへダイアモンドや金を持ち込むには面倒な手続きが必要で、簡単には持ち込めませんし、路上で初めて会った人間に自分が高級な貴金属を持ってると話す様な危機感の無い奴は、国外へ出て商売をしようなどとは思わないでしょうから…。
これで色気を出して彼らに連絡して会おうものなら、騙されて金を巻き上げられるか、悪くすれば死体で見付かるかも知れませんね。
人間、擦れてしまうのも考えものです。
さて、彼からメールは来ますでしょうか?