第十章
4月。始業式からまだ日も浅い頃だったと思う。久慈が、「退部しないか」と持ちかけてきた。
佐藤、辻山、自分の3名はその話に乗った。中島、米川は拒否。戸沢は半ば幽霊部員と化していたこともあり、その話をしなかった。都築に関してはその前年、不祥事で退部させられていた。
とはいえすぐに退部できるはずもなく、一週間程度は本当に退部するかや、今後どうするかを話し合い、ソフトテニス部にも属したままだった。つまり、大変滑稽な話ではあるが、我々は部活動紹介にも出たわけである。その部活を辞めようとしている人間が、新入生に向かって「楽しい部活です。是非入部して下さい」等と言っていたわけである。詐欺ともいえる。まあそうするしかなかったのだが。
決行当日。木曜日だった。
放課後、久慈、佐藤、辻山、自分の4名は廊下と職員室前を往き来した。それを、奇異の目で見てくる人も少なからずいた。業を煮やした自分は、勇気を振り絞って1人で向かった。すると、あっさり退部を承諾された。しかし、その後佐藤と辻山も退部を告げると、不審に思ったのだろうか、彼らについては「保留 」となった。
翌朝、久慈が退部を持ち出すと拒否。「話し合い」をすると言われた。その「話し合い」には既に退部を承諾された自分も何故か含まれていた。
(続く)