みんなと楽しく、和気あいあいとランチタイムを

過ごしたんだけど、みんな、いつものクセで食べるのが早い!

私もなんだけどね(苦笑)それで、せっかくだからと部長が

デザートまで頼んでくれたの!今日のランチ最高!って叫びそうに

なっちゃった(笑)でも、ここからが、ちょっとだけ大変なことに

なっちゃったんだよね(汗)

 

部長が頼んでくれたデザートは、和食のお店らしく、

クリームあんみつだったの。バニラアイスor抹茶アイスで

分かれたんだけどね。

 

 

目の間にあんみつが運ばれて、さあ食べようって思った時、

朝からずっと無言だった五十嵐智美が口を開いたんだ。

 

「あの、少しお話ししても良いですか?」

 

弦ちゃんと私は、ちょっとドキッとしたんだけど、他のメンバーも

部長もビックリしてるっていうか、あんまり良い反応じゃ

なかったんだよね。

 

 

もしかしたら、彼女が弦ちゃんに好意を持ってて、食事に誘ったけど、

断られてっていう経緯を知ってるのかもって思っちゃった。

でも、チームのメンバーはさておき、部長まで知ってるっていうのは、

どうしてなんだろう?って思ったけど・・・。

 

 

ちょっと不穏な空気に包まれてしまった中、部長が穏やかに口を

開いたんだよね。部長が居てくれて、良かった。

 

「もちろんですよ、五十嵐さん。何かありますか?」

 

「たぶん、みんな知ってると思うんですよね。それなのに、

知らないフリをしてくれてるのは、優しさなのか、それとも私のことを

バカにしてるのか、ずっと気になってたので、ハッキリさせたいんです。

全員揃ってる今が良い機会だなと思ったので」

 

「ん?知らないフリですか?皆さん、心当たりはありますか?」

 

 

「部長もご存知なんじゃありませんか?簡単に言うと私が藤崎さんに

フラれたという話です!」

 

「フラれた?何か藤崎さんと五十嵐さんの間であったということですか?」

 

「部長、白々しいにも程があります!知ってるクセに!」

 

「私は、五十嵐さんが藤崎さんにフラれたということまでは知りませんよ。

皆さんは、いかがですか?」

 

 

先陣を切って、口を開いたのは、いつも通り、谷潤也だったんだよね。

でも、いつもみたいな軽さはなくて、ちょっと安心してたんだけど、

今の五十嵐智美には、届かなかったみたい(汗)

 

「フラれたかどうかは知らないけど、五十嵐が藤崎さんのこと、食事に

誘ったけど、断られたことは知ってるよ。でも、食事に断られたイコール

フラれたってことにはならないんじゃね?

 

別に好きです、つきあってくださいって言ったワケじゃないだろ?

だったら、フラれたとは言わねえだろう。違うの?」

 

「私もそう思う。だって、藤崎さんって、いつも忙しくしてるから、

いきなり食事に誘っても難しいでしょ?智ちゃん、被害妄想が膨らんでる

だけなんじゃない?私はそう思うけどな」

 

 

「うん、うん、僕もそう思う!っていうか、五十嵐が言った通り、今は

全員揃ってるし、個室みたいなもんだし、もし、五十嵐に思うところが

あるんだったら、藤崎さんにぶつけてみたら良いじゃん。本人がここに

いるんだしさ」

 

 

「みんな、彼女を煽るのはやめましょう。これは、五十嵐さん個人のこと

ですから。それでも、五十嵐さんが、ここでハッキリさせたいというのなら、

僕は止めませんけど。そうですよね、ミウさん?」

 

「そうだね。智ちゃんの気持ちがスッキリするなら、ここで吐き出した方が

良いと思うけど・・・。そこんところ、どうなの?」

 

「チーフも白々しいですね(苦笑)」

 

 

「おい!チーフに八つ当たりかよ!」

 

「八つ当たり?だって、藤崎さんとチーフ、つきあってますよね?

違いますか?」

 

「え〜っ!?マジですか?でも、藤崎さんとチーフがつきあってても

何か問題あるのかなぁ?だって、プレゼン前も毎日電話をしてたワケ

でしょ?仕事の電話だったとしても、ずっと直接的に打ち合わせとかして

くれてた中で、恋が芽生えても不思議じゃないしな。

 

 

っていうか、藤崎さんとチーフのことを知ってて、藤崎さんを食事に

誘ったのか!?だとしたら、五十嵐に問題アリなんじゃね。女って、

マジで怖いことするよな」

 

「ね、智ちゃん、そうなの?私も藤崎さんとチーフが、つきあってても

問題ないと思うし、むしろ祝福したいって思うけど、智ちゃんは、それを

壊そうとかって思ってたワケ!?だとしたら、そっちの方が

大問題なんじゃない!?」

 

 

「まぁまぁ、みんな、そんなに熱くならないでよ(苦笑)これじゃあ、

五十嵐さん、何も言えなくなっちゃうでしょ?ね、五十嵐さん、どうなの?」

 

「私は・・・藤崎さんとチーフがつきあってるって思ったのは、私が食事を

断られてからだから、二人の関係を壊してやろうとかって思ったワケじゃない。

 

ただ、藤崎さんの断り方がズルいっていうか、こちらに気を持たせるような

感じで断ってきたから、私もちょっとは期待しちゃってて・・・。

私とつきあう気がないんだったら、キッパリ断って欲しかっただけ!

 

もう、いっぱいいっぱいで、苦しい。チーフに対しても、どう接したら

良いのかも分かんなくなっちゃうし。だから、ハッキリしたいの!もう恥とか

関係ない!この場で藤崎さんの気持ちを聞かせて欲しい!」

 

 

「そうでしたか・・・。いつも、無口な五十嵐さんのことだから、自分の中で、

思いが膨らんで、煮詰まってしまったのかもしれませんね。独りで考えて

いると、どんどん悪い方に流されてしまいますからね。

 

でも、こうして、思い切って、言葉に出来て良かったですね、五十嵐さん。

今、少しだけスッキリしていませんか?五十嵐さんの勇気を無駄にしない

ためにも、藤崎さん、もしよかったら、ここで、ハッキリさせませんか?」

 

 

「弦夜、元はと言えば、お前の断り方に問題があったのが原因。それで、

ミウさんにまで、迷惑をかけた。その自覚はあるの?弦夜は、昔から優しい

ヤツだったけど、優しさと優柔不断は、背中合わせだからね。

 

弦夜に悪気があったわけではないことは、僕も分かっているつもり。

でも、人によるんだよ。ハッキリ断られないと期待してしまう人もいると

いうことをこの機会に弦夜も学んだ方が良いと思う。だから、弦夜、思って

いることをハッキリ言った方が良いよ」

 

 

「うん、そうだね。せっかくの楽しいランチ会を僕のせいで台無しにして

しまい、申し訳ありません。五十嵐さんから食事に誘われた時、

気を持たせるような断り方をしたという意識は、僕の中にはないんです。

 

ただ、これまで僕は、女性のことを本気で好きになったことがありません

でした。だから、今までおつきあいした女性は全て、僕からではなくて、

女性から告白されて、おつきあいを始めたという感じでした。

もちろん、告白された人、全員とつきあったわけではありませんけど・・・。

 

そんな僕が、やっと自分から好きになって、つきあいたいと思う女性が

現れたんです。五十嵐さんから食事に誘われた時は、僕の中に、

そういう気持ちが湧いてきた頃で、まだ、とても淡い感情でした。

それで、いつも以上に僕の気持ちが優しい感情で満たされていたことで、

断り方も柔らかくなったのかもしれません。

 

 

でも、僕は、ハッキリと食事に行くつもりはないことを伝えたつもりです。

<また誘ってください>とか、<時間に余裕が出来たら行きましょう>

というような言い方はしなかったはずですよ。違いましたか?」

 

「確かに、<また誘ってください>とか、<時間に余裕が出来たら

行きましょう>とは言われませんでした。でも、私は、優しく断られると

期待しちゃうんです!だって、今まで優しく断られたことがなかったから・・・」

 

 

「う〜ん、だとしたら、それは五十嵐さんの問題であって、藤崎さんの問題では

ないと思うのですが、レオンくん、いかがですか?」

 

「そうですね。では五十嵐さん、一つお聞きしたいのですが、今まではどういう

断られ方をしていたんですか?」

 

「おい、レオン、そんな傷口に塩を塗り込むみたいなことするなよ!」

 

 

「いや、ここはハッキリさせておいた方が良いです。そうでないと、

五十嵐さんは、これからも辛い思いを繰り返すことになると思います。

ミウさんもそうは思いませんか?」

 

確かにそうかもしれない。でも、智ちゃんのハートは、大丈夫なのかな?

いや、逆か。今ここで、過去の辛い経験を話すことで、部長、レオンくん、

そして私が力を合わせて、智ちゃんの中にある黒歴史を書き換えるお手伝いが

出来るかもしれない!

 

 

っていうか、ここで書き換えておかないと、この先ずっと智ちゃんは

苦しみの中で生きることになっちゃうかもしれないよね!弦ちゃんもきっと、

力を貸してくれるだろうし。元地球防衛軍の司令官と元守護天使が二人も

揃ってる今だからこそ、良いタイミングなのかもしれないし、智ちゃんに

とっては、生まれ変わるチャンス到来なのかもしれない!

 

 

 

<次回へ続く>