藤崎さんと二人で食事に行っただけで、また、たくさんのことに

気づくことが出来た。でもそれは、藤崎さんが、私の元守護天使さん

だからということではないと思う。思い返してみれば、藤崎さんから

食事に誘われる前も、ううん、もっと前、アトランティーナに

出会う前にも、私は男性から食事に誘われたことがあった。

 

でも、私は、男性と食事に行くことで、それが恋愛に発展してしまう

可能性を考えて、頑なに拒否し続けていたんだよね(苦笑)

自意識過剰だって思われちゃうかもしれないけど、どんな小さな可能性も

潰したいって思ってたんだと思う。

 

 

もし、私が、もっと前向きだったら、軽い気持ちで食事の誘いも

受けられたのかもしれない。そうすれば、もっと早く、たくさんのことに

気づけたのかもしれない。もう過ぎたことだから、今更何を

言ってるんだって感じだけどね(苦笑)

 

私が、アトランティーナに出会ったのも、私が引き寄せたことなのかも

しれないって、今は、ちょっとだけ思ってる。もちろん、アトランティーナは、

私が生まれてからずっと私のことを見守ってくれてたみたいだから、

時期を見て、現れてくれたんだと思うけど、それでも、今世では、どうにも

ならないって思われちゃったら、きっと現れてはくれなかったんじゃ

ないかな(苦笑)

 

そう考えると、少しでも成長したい、変わりたいって思って、もがいて

みるのもアリなんじゃないかなって思うんだよね。『今のままじゃダメだ!』

っていう、心の奥深いところの叫びをキャッチすることが出来た。

これが、私にとって、一番大きなことだったんじゃないかなって思う。

 

 

人は、他人の変化には、よく気づくけど、自分の変化には、なぜか疎いよね?

そのくせ、他の人と自分を比べるのは得意でしょ?それで、あの人より上だとか、

下だとかって思って、一喜一憂する。これって、めっちゃ不毛なことなんだよ。

どうせ比べるのなら、他の人と自分じゃなくて、過去の自分と今の自分を

比べた方が良いと思う。

 

でも、今の自分と過去の自分を比べることって、あんまりしないよね?

でも、過去の自分と今の自分を比べると、色々なことに気づけるんだよね。

それに、自分の変化に敏感になることは、自分に愛情を注ぐことにもなるしね。

ほら、好きな人のことは気になるでしょ?だから、自分に関心を持てば、脳が

<コイツは自分のことが好きなんだな>って理解してくれるじゃない(笑)

 

それに、過去の自分と今の自分を比べることで、自分が今、どの位置に

居るのかが分かるから。今、どこに居るのかが分かれば、目指すところ

までの距離も分かるようになるじゃない?その方が前向きにチャレンジ出来る

っていうか、進んで行く励みにもなるよね?

 

前にアトランティーナが言ってたナビゲーションシステムと同じだよ。

ナビも現在地があって、そこから目的地を具体的に入力することで、

最短ルートを割り出してくれるじゃない?目的や目標を具体的にするのと

同じくらい、今、自分がどこに居るのかを知ってることも重要ってこと

なんだよね。

 

 

過去の私は、幸せというものにフタをして、見なかったことにしてた。

でも、今は違う。ちゃんと幸せを受け容れるって決めたから。そのお陰で、

小さなことにも幸せを感じられるようになった。これって、めっちゃ大きいと

思うんだよね。だって、これが出来るようになると毎日が、今までよりも

ハッピーに感じられるから。

 

 

ハッピーに感じられると、私の身体を覆っているエネルギー体にも影響を

与えて、もっとハッピーを呼んできてくれるでしょ?ってことは、私には、

もうハッピーなことしか起こらないってことになる。これって、スゴく

ステキなことだと思わない?

 

藤崎さんとデザートまで堪能して、お店を出ることにした。お会計は

割り勘でって思ってたのに、私が帰る前にトイレに行ってる間に藤崎さんが

済ませてくれたんだよね(汗)トイレから戻ってきて、お会計が済んでた

から、割り勘を申し出たんだけど、藤崎さんは応じてくれなかったの。

 

「藤崎さん、私も働いてるし、ここは割り勘にしてください。だって、

このお店、お高いんじゃないですか?」

 

「ミウさん、僕は、今夜、ミウさんに告白するつもりで、このお店を

予約したんです。最初から僕が支払うつもりでいました。だから、今夜は

僕にカッコつけさせてください(笑)ただ、次回からは、もっとカジュアルな

お店になりますよ。こういうお店は、特別な時だけなので」

 

 

「ありがとうございます。ご馳走様でした」

 

「いいえ、どういたしまして」

 

とは言ったものの、私の中で、藤崎さんに『悪いなぁ』っていう気持ちが

湧いて来ちゃったんだよね(苦笑)『嬉しい』っていう気持ちより、

『悪いなぁ』っていう気持ちの方が大きかったの。

 

ってことは、私も幸せを受け容れることが出来るようになったとは言っても

まだまだ未熟なんだなって思った(苦笑)これからは、『悪いなぁ』って

いう思いより、もっと素直に『嬉しい!ありがとう』って思えるように

なりたいよね。

 

 

「ところで、ミウさん、忘れていませんか?」

 

「えっ、何か私、忘れてます?」

 

「ほら、やっぱり忘れてる!アトランティーナに聞いてくださいよ。

明日、僕が行っても良いかどうか」

 

「あっ、そうでしたね(汗)」

 

ヤバっ!忘れてると思ってたのに、藤崎さん、忘れてなかった(汗)

忘れたフリしてたのもバレてたりして(苦笑)アトランティーナ、きっと軽く

<良いわよ>って言うんだろうなぁ・・・。

 

「じゃ、電話してみますね」

 

「お願いします」

 

 

アトランティーナ、お風呂に入ってるとか、もう寝てるとかだったら

良いなぁ・・・。っていうか、私、藤崎さんに来て欲しくないって思ってる?

えっ、なんで?だって、さっき、藤崎さんから<つきあってください>って

言われて、OKしたじゃん。それなのに、なんで来て欲しくないって

思っちゃってるんだろう?って、電話をしながら、グチャグチャ考えてると

アトランティーナが電話に出ちゃった(笑)

 

「どうしたの?ミウが電話してくるなんて初めてのことじゃない?

何かあった?」

 

「特に何かがあったってワケじゃないんだけど、明日、藤崎さんが家に

行っても良いかって言ってるの。それで、返事する前にアトランティーナに

聞いてみるって言ったから電話した。どう思う?」

 

 

「私は別に構わないけど、ミウは?ミウはどうなの?」

 

「う〜ん、どうしたら良いのか分かんないんだよね(苦笑)」

 

「何を迷っているの?レオンの時は、即行で断っていたじゃない(笑)

弦夜は、どうして迷うの?」

 

「あっ、そういえばそうだったね!私、レオンくんが遊びに行きたいって

言った時は、即行で断ったわ(笑)」

 

「でしょ?毎日、ちゃんと掃除しているからキレイだし、何も問題ないわよ。

来てもらったら?でも、1つ条件がある。美味しいデザートを買ってくる

こと!(笑)あと、何時頃来るのかしら?もし、昼も夜もウチで

食べるんだったら、デザートは2種類よ。そう伝えておいてくれる?」

 

「え〜っ、アトランティーナが直接言ってよ!じゃ、代わるね。

藤崎さん、アトランティーナが藤崎さんに伝えたいことがあるみたいなので、

代わってもらっても良いですか?」

 

「えっ、はい。何だろう?あっ、お電話代わりました。弦夜です。

お久しぶりです。僕に伝えたいことがあるって聞いたんですけど、何ですか?

えっ!?あ〜、分かりました!相変わらずですね(笑)

 

 

何か希望はありますか?え〜っ、マジですか!?う〜ん、ちょっと考えます!

了解です。じゃ、明日、楽しみにしてますね。ミウさんに代わりますか?

あっ、そうですか。はい、では、失礼します」

 

「アトランティーナ、何て言ってました?」

 

「ミウさんに言ったのと同じことだと思いますよ。ミウさんが言いづらい

って言うから、私が代わりに言うけどって言ってましたから(笑)

食事毎に美味しいデザートを買って来いって言われました。そのデザートの

センスによって、今後のミウさんとのつきあいを認めるかどうかを

決めるって(笑)アトランティーナ、相変わらずですね。でも、変わって

なくて安心しました」

 

 

「そ、そうですか(苦笑)すみません、なんかムチャブリしたみたいで(汗)」

 

「全然ですよ!じゃ、明日、昼と夜、ご飯をご馳走になろうと思うので、

2種類、美味しいデザートを買って、伺います。デザートのセンスって

言ってたんですよ。アトランティーナのセンス、難しいですね(苦笑)

 

ちょっと帰ってから調べてみますね。変なデザート買って行ったら、

ミウさんとはつきあわせないって言ってましたから、それじゃ困ります

からね(笑)」

 

「ホント、申し訳ないです!」

 

 

「いいえ、こういうの楽しいじゃないですか!僕は好きですよ。ちょっとした

試練があった方が、盛り上がるし。きっと、僕のミウさんへの気持ちを

アトランティーナは試しているんだと思います」

 

「デザートでですか?」

 

「そうです。どんなデザートを選ぶのか、そこで見極めるんですよ。

アトランティーナらしいじゃないですか。もちろん、受けて

立ちますよ!(笑)」

 

「そ、そうですか(苦笑)では明日、楽しみにしてますね。

それで、何時頃、いらっしゃる予定ですか?」

 

「そうですねぇ。お昼前って言っても、デザートを買ってから行くので、

11時過ぎくらいですかね。遅くても11時半くらいまでには行くように

しますね。

 

あっ、そうだ!大事なことを聞き忘れるところでした。お家の場所、教えて

頂けますか?って、こんな道端でというのも何ですから、良かったら、

もう一軒、行きませんか?」

 

 

「あっ、そうですね。でも私、あまりお酒が・・・」

 

「大丈夫!さっき、それは聞きましたから、遅くまでやってるカフェに

行きましょう。コーヒーなら大丈夫ですよね?」

 

「はい!それは助かります!」

 

「じゃ、そういうことで、この近くにあるので、行ってみましょう!

たぶん、金曜日の夜なんで、みんなお酒を飲みに行くでしょうから、

空いてると思いますよ」

 

こうやって、私が言ったことを覚えていてくれて、私に合わせて

くれる。たったこれだけのことでも嬉しくて、『私、幸せだな』って

思える。これって、やっぱり、私、藤崎さんに恋してるからなのかも

しれないね。

 

 

<おつきあいすることをOKしたのに、何言ってるの!?>って感じかも

しれないけど、私はずっと、『この人のためだったら死んでも良い!』

っていう覚悟が出来てからじゃないと、つきあおうとしなかったのね。

 

で、今はっていうと、そこまでの覚悟が出来てないっていうか、

そこまで考えてなかったから、なんか、私の中では、ちょっとだけ

中途半端な感じが否めないんだよね(苦笑)でも、藤崎さんと

過ごす時間は楽しいし、もっと藤崎さんのことを知りたいとも

思ってる。今は、それで良いのかなって感じなんだよね(苦笑)

ここから気持ちを育てていけば良いのかなって思ってる。

 

 

<次回へ続く>