今回はこういうお題でいきます。ヒッグス粒子は2012年に
大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での実験によって発見されました。
この発見は、素粒子物理学の標準模型を裏付ける重要な成果であり、
ピーター・ヒッグス博士とフランソワ・アングレール博士は
翌年の2013年にノーベル物理学賞を受賞しています。
このように発見されてすぐにノーベル賞につながったということは、
それだけその発見が物理学界にとって重要だったということになります。
ただし、ここで重要なのはヒッグス粒子ではありません。粒子という
単体で理解しようとすることはあまり意味がないんです。
重要なのはヒッグス場のほうです。
ヒッグス場は、ヒッグス粒子どうしがバネでつながったようになって、
全宇宙を満たしています。ですから、場としての理解が重要です。
では、ヒッグス粒子はどうやってヒッグス場から出てきたのか?
ヒッグス粒子
これは例えば、パチンコ玉がぎっしり詰まった箱(ヒッグス場)を
強い力で揺らしてやると考えればいいです。そうすると、ポンと
一個だけパチンコ玉が飛び出してくる。これがヒッグス粒子。
具体的には、重量のある陽子同士を何周も回して、極めて高い
エネルギーで衝突させ、その結果生じる粒子のデータを解析することで
ヒッグス粒子の存在を確認しました。
次に、ヒッグス場はどうやってできたのか? ヒッグス場がどのように
生まれたのかについては、物理学の標準模型に基づいた理論があります。
宇宙が誕生した直後、すべての素粒子は質量を持たず、
自由に動き回ることができました。
ヒッグス場を強い力で揺さぶるとヒッグス粒子が出てくる

しかし、宇宙が冷却されるにつれて、ヒッグス場が、
この間説明した「自発的対称性の破れ」を起こし、真空の状態が
変化しました。この変化によって、素粒子がヒッグス場と相互作用し、
質量を獲得するようになったんですね。(自発的対称性の破れ、偶然が
原因でオセロゲームの駒全部が白か黒のどちらか一方になるような現象)
ヒッグス場はよく雪山に例えられます。深い雪が地面に積もった状態。
この上を、電子やクオークは歩いています。すると雪に足をとられて
動きにくいですよね。この動きにくさが質量となってあらわれるんです。
一方、ニュートリノのような粒子はヒッグス場との相互作用が非常に弱く、
いわば鳥のように雪山の上を飛んでいる状態。ですから、
ヒッグス場の影響を受けず、ほぼ質量を持たないように見えます。
LHC加速器 山手線ほどの大きさ 電圧をかけ、電磁石によって陽子を曲げて
加速し、衝突させる

では、ヒッグス場の発見は宇宙論にどのような影響を与えたのか?
この発見によって、宇宙の初期状態における物質の形成過程がより詳細に
説明できるようになりました。
特に、ビッグバン直後の宇宙ではすべての粒子が質量を持たずに
自由に飛び回っていたのと考えられていますが、ヒッグス場の影響に
よって質量を獲得し、現在の宇宙の構造が形成されたんです。
つまり、ヒッグス場がなければ現在のような星々もできなかった。
また、ヒッグス粒子の研究は暗黒物質や暗黒エネルギーの解明にもつながる
可能性があります。暗黒エネルギーとは、宇宙の膨張の加速に
力を与えている見えない物質です。
最近、存在しない可能性も出てきました

これらの未知の物質が宇宙の進化にどのような影響を与えているのかを
理解するために、ヒッグス粒子の性質を詳しく調べることが
重要視されているんです。
まとめ ・ヒッグス粒子よりもヒッグス場のほうが重要 ・ヒックス場は
全宇宙に広がっている ・ヒッグス場は「自発的対称性の破れ」によってできた
・糊のようなヒッグス場を通ることで、素粒子には質量が与えられるが、
ほとんど影響を受けない粒子もある

