※ バカ話です。

 

ああ、俺な、その夜は飲みすぎて終電を逃しちまって、しかたなく
駅前のサウナに泊まったんだよ。寝る前にゆっくりサウナに入ってたら、
突然木のドアが開いて、たくさんの男たちがドヤドヤと入ってきたんだよ。
10人近くいた。それがな、驚いたことに全員が背中に見事な彫り物が
入ってたんだ。不動明王とか図柄はいろいろだった。サウナはイレズミ
お断りのはずなのにこれは不思議だよな。でも、おそらくこいつら
どっかの組員で、従業員もグルなんだろうと思った。俺は怖くなって
隅っこに引っ込んだら、腰に赤いふんどしをつけた爺さんが出てきた。
白い八の字髭をたくわえた威厳のある顔だった。
それで俺は、この人がヤクザの組長なんじゃないかと思ったんだ。
その爺さんは俺に向かって意味のわからないことを言ってきた。

「あんたが地獄の門の持ち主だな。昨日の夜、星が流れるのを見て
ここにいるのがわかった」どういうことなのかわからなくて俺が
黙っていたら、爺さんは手下に合図して俺が腰に巻いてたタオルを
取り上げさせ、手足をつかんでうつぶせに床にひっくり返したんだ。
そして俺の尻を上からのぞき込んで、「うむ、間違いない。やはりこいつが
地獄の門だ」俺は「ちょっと何するんだよう」と抗議したが、
爺さんはそれに取り合わず「おいお前ら、拉致しろ」と手下に命じ、
俺は裸のままバスタオルにくるまれて階下まで連れて行かれ、
黒塗りの高級車の後部座席に放り込まれたんだ。わけがわからなかった。
俺はヤクザとかとは関係ないまっとうな暮らしをしてるし
借金もねえ。今夜はたまたま飲み過ぎただけだ。

しかし、このあと俺は1時間ほど都内を連れ回されたあげく、車は埠頭に近い
やつらのアジトに着いたんだよ。そして俺は男たちの手によって、
全裸のまま手足を、地面のコンクリから突き出ている4本の鉄パイプに、

うつぶせの状態で縛りつけられた。「何するんだよう」俺は泣き声を声を上げたが
答えはなかった。しばらくしてさっきの爺さんが出てきたんだが、
いつのまには高価そうなスーツに着替えていた。でな、俺は大きく足を
広げた体勢で、足の間の少し斜めの位置にカメラをセットされ、
眼の前のモニター画面に俺の肛門が映し出されたんだ。
いったい何をされたるのか、まったく心あたりがなかった。爺さんは
「これは失礼した。さきほども言ったように、あんたが地獄の門の
持ち主であることがわかったため、このようにさせてもらった。

なに、少々痛いかもしれんがすぐに済むから」って言ったんだ。
そしてパンパンと手を叩き、「お坊様方どうぞ」そう言って奥の扉を開いた。
そしたらそっから、ハゲ頭で黄色い衣を着て、不思議な楽器を持った一団が

出てきたんだ。俺は、これはチベットの僧侶じゃないかと思ったんだよ。ほら、
ラマ僧ってやつだ。その僧たちは異国のお経を唱えながら、骨笛を吹き鳴らし、
銅鑼をボカーンと叩いたんだ。強いお香の匂いがした。そして爺さんと部下たちは

俺の足のほうの床に並んでひざまずいた。そのとき俺は強烈な便意を感じたんだよ。
今にも漏らしそうだった。しかし、ここで漏らせば、男たちに糞便がかかって
殺されるとも思った。だからできるかぎり我慢したんだが、限界が近づいてきた。
爺さんは「おお、もうすぐ地獄の門が開く!」感極まったようにそう言い、
俺はもうダメだと観念して、腹の中のものを思い切り噴出させたんだよ。

そしたら、眼の前のモニターに不思議な光景が写った。俺の肛門からメリメリと
いった感じで白髪頭が出てきたんだよ。今にも肛門が張り裂けそうで、
俺は大声で叫びながらダラダラと涙を流した。爺さんは「おお、先生!」と叫び、

そばに控える男たちも口々に「児玉先生!」  「誉士夫先生!」と叫びだした。
やがて男の頭は完全に俺の肛門から外に飛び出したが、ごま塩の坊主頭だった。
爺さんがみなを代表して「児玉誉士夫先生、おなつかしゅうございます。
さぞやロッキード事件では悔しい思いをされたことでしょう」そう言い、
続けて「ぜひ、ここのみなにお言葉をたまわりますよう」すると坊主頭はかっと
目を見開き「もう日本は終わりだあ・・・お前らみんな死ね!」そう言い残すと、
またズブズブと俺の尻の中に引っ込んでいったんだよ。・・・こんなことがあって、
爺さんは「あんたご苦労だったなあ。まあこれも地獄の門の持ち主として生まれた
宿命なんだよ」そう言って、裂けた肛門の治療費として2万円くれたんだよ。